【夫婦関係】夫は妻の人生をどう応援すべきか ―高校生のサザエさん寸劇授業から考える―

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2017年10月の新聞に、夫婦関係についての興味深い記事が掲載されました。都立高校の3年生が「サザエさん」の寸劇を通じて、女性の社会進出について学ぶというもの。夫婦関係、家族のあり方について考えさせられました。

都立高校の3年生が「サザエさん」の寸劇?

サザエさん

記事の題材となったのは、東京都立青山高校の3年生の授業の様子。都立青山高校というと、「御三家」と呼ばれる日比谷高校、西高校、国立高校の次に来る優秀な進学校です。毎年秋に行われる学園祭(学校の地から「外苑祭」と呼ばれる)では、各クラスが総力を上げてミュージカルに取り組むなど、勉強だけに偏らない自由な校風で知られます。他の高校からは「美人が多い」と評判なのだとか。

そんな都立青山高校の3年生が、「サザエさん」の家族を演じる寸劇を、授業に取り入れているそうです。まずは、2017年10月15日の朝日新聞の記事を見てみましょう。

サザエさん「働きに出たい!」宣言したら…爆笑と発見の寸劇授業 立ちはだかる波平に「保育園行くですぅ」

あのサザエさん一家に激震が走った。サザエさんが専業主婦をやめ「働きに出たい!」と宣言したのだ。それを聞いたマスオさんはどう思うか? そしてカツオは? 東京都立青山高校の日本史の授業で、生徒たちがマンガの登場人物の役割を即興で演じながら考えた。そこで見つけた性別役割分業の現状と解決策は――。(朝日新聞オピニオン編集部「声」編集記者・吉田晋)

「自己実現の夢」に目覚める
サザエさん一家を改めて紹介しておこう。

テレビアニメのホームページによると、主役のフグ田サザエは24歳。夫のマスオ(28)は商事会社の営業社員で、「タラちゃん」こと長男タラオ(3)は一人っ子だ。

3人はサザエの実家の磯野家に同居していて、会社員の父・波平(54)、専業主婦の母・フネ(50歳代)、サザエの弟カツオ(11)、妹ワカメ(9)、オス猫のタマと、仲良く楽しく暮らしている。

サザエさんは、タラちゃんの年齢から逆算すると、4年制大学には進学せずに結婚し、すぐに出産したようだ。

そんなサザエさんが「自己実現の夢」に目覚め、勤めに出たいと切り出した、と想定する。出勤のため朝7時半に家を出て、帰宅時間は早くても夕方6時を回り、時には残業もある。母のフネはこの際「いない」ものとする。この前提で、10月5日の3年7組の授業中、ランダムに役を割り振られた生徒たちが、台本なしで「家族会議」に臨んだ。

「保育園行くですぅ」
サザエ「タラちゃん、私働きに出たいんだけど、朝から晩まで近くにいられないけど、いいかな」

タラオ「いいですぅ」

サザエ「一緒に遊んであげられないけど」

タラオ「お兄ちゃんが遊んでくれるから、いいですぅ」

カツオ「僕は学校の友達と遊ぶから嫌だ」

ワカメ「私も嫌」

タラオ「保育園行くですぅ」

マスオ「サザエのしたいように。僕はサザエを信じているよ」

「お前は、何で仕事なんかしたいんだ」
しかし、ここで波平が口を挟む。原作は戦後の高度成長期ごろの世相を反映し、テレビアニメもそのDNAを受け継いでいるので、「家長」らしく、ちょっと古くさい家族観が炸裂(さくれつ)する。

波平「家事をしなさい。家族のご飯はどうするんだ」

サザエ「朝は早起きして頑張るけど、夜は……カツオにも手伝ってもらえたらなあ……」

カツオ「僕は料理できないんで。ワカメが」

ワカメ「最低限は、お兄ちゃんと一緒に努力します」

カツオ「まあ……僕もたまに」

サザエ「お父さん、みんなこう言ってくれているんだけど」

波平「いや、カツオとワカメは勉強と遊ぶことが大事だ。お前は、何で仕事なんかしたいんだ」

サザエ「本当は大学に行きたかったけど、タラちゃんを産んだから……あっ、ていうかマスオさんと出会ったからあきらめ……マスオさんのせいじゃないけど……私も自己実現、したいから」

「私も夢をかなえたいんです。お願いします」
サザエさん(役の生徒)が言葉に詰まってしまったので、記者が質問してみた。

記者「波平さん、お父さんは何も手伝わないんですか」

波平「わしは仕事がある。男が働いて女が家事をやるのが普通じゃないのか!」

サザエ「でも家族みんなで協力して……。私も夢をかなえたいんです。みんな、お願いします」

「みんなも10年後、たぶん現実になる」
この授業を考えたのは本杉宏志先生(57)だ。

寸劇を見守っていた本杉先生は「(この劇に)答えはないから」。

「待機児童問題、知ってるよね。抽選に外れたりして、うまく保育園に入れないかもしれない」。

児と仕事を両立させようとすると、他にもいろんな問題に直面しうる。

「みんなも10年後、たぶん現実になる」

長男が生まれて気がついた
この日の授業は、明治民法と家族制度の学習を導入に、性別役割分業の問題を考えるのがテーマ。

本杉先生は、旧民法には「夫の許可無く妻は法律行為ができない」という内容の条文があったことを紹介し「ずっと男性に頼っていく生き方、どう思う?」と問いかける。女子生徒は一斉に首を振った。

本杉先生が、日本史の授業に「男女や家族」の視点を盛り込むようになったのは、35歳で長男が生まれた時の体験がきっかけだ。

1歳下の妻から「子育てって2人でやるもんでしょ」「社会科の教師なら学校で男女平等を教えているよね」と、育児休業を取得するよう提案された。

妻が仕事を辞めるか育休を取るものと思い込んでいたので、驚き、当惑したが、説得されて10カ月の育休を取得。復職してからも時間をやりくりして保育園の送迎を分担した。

その体験を経て日本史の教科書をながめると、登場する人物の圧倒的多数が男性だと改めて気づき、歴史における女性の地位に目が行くようになった。サザエさんの授業を始めたのは6、7年前からだ。

「労働人口が減って女性も働かざるを得なくなる」
教室を笑いの渦に巻き込みながら寸劇は終わった。

サザエ役の吉田凜さん(17)は「波平にも、カツオとワカメにも支持してもらえず、マスオさんだって具体的に何を協力してくれると言ってくれなかった。誰も味方がいなくて、外に出ることはあきらめるしかないと思った」と残念そう。

サザエさんの夢にNGを出した波平役の三品芽生さん(18)は、実は「女の人も働けるように家族も協力して、というのが本音」。10年後は「労働人口が減って女性も働かざるを得なくなるから、今より女性が活躍できる社会になっていると思う」と期待を語る。

「結婚したらちゃんと意見を聞こう、と」
こんな女子生徒たちの声を聞き、ワカメ役の刀祢仁生君(18)は発見があったという。

「母親もそうだから女性は専業主婦が普通だと思っていたけど、みんな働きたいんだな、将来結婚したらちゃんと意見を聞こう、と。職場に保育所があれば負担が減るんじゃないか、と思った」

日頃から「受験のために勉強しているんじゃない」と生徒に語りかけている本杉先生が、授業の最後に尋ねた。

「この中で選挙権持っている人は?」

25人のうち14人が手を挙げた。

「みんなが生き生きと活躍できる社会にするにはどうしたらいいか、そんなことを考えて、選挙に行ってきたらいいと思う」

選挙権がある三品さんも刀祢君も「若いけどそれなりの意見があるので、投票に行くつもりです」と口をそろえた。

(引用:with news

いかがですか?僕は43歳ですが、自分の高校時代には、こんな授業は考えられませんでした。母親が専業主婦という家庭の子供が多く、それに対して何の疑問も感じないまま大人になってしまいました。そのことが、その後、夫婦関係が崩壊する一因になっています。

高校生のうちから、こういう授業を通じて、女性が自己実現のためや経済的な事情で働きに出ることを、自分のこととして考え議論することは、とても意義があると思います。

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妻の人生を尊重する ―マスオのあり方―

サザエさんを演じた17歳の女子生徒のコメントは、非常に示唆に富んでいます。

「波平にも、カツオとワカメにも支持してもらえず、マスオさんだって具体的に何を協力してくれると言ってくれなかった。誰も味方がいなくて、外に出ることはあきらめるしかないと思った」

「サザエのしたいように。僕はサザエを信じているよ」と言ったマスオさんに対して「具体的に何を協力してくれると言ってくれなかった」と、本質を突いた見方をしています。

一見マスオさんは協力的なように見えて、実は自分のこととして考えていないんですよね。実際にサザエさんが働きに出た時に、家事の分担をどうするか、保育園の送り迎えを自分はできるのか、そういったことを本気で考えてはいないのです。

サザエさん役の女子生徒は「誰も味方がいない」ことの絶望感を、身をもって感じ取ったのだと思います。

僕の妻もかつて、同じような絶望感を感じたのだろうと思い至りました。

僕は妻の人生を尊重できなかった

僕と妻は、いわゆる「できちゃった結婚」でした。妊娠が分かった時、僕も妻も大学の卒業を間近に控え、お互いに就職先が決まっていました。

妊娠を告げられた時、僕は「結婚して子供を産む」ということを、すぐに考えました。まっさきに中絶を考えたりしなかった点では、僕はゲスではなかったかもしれませんが、でも彼女の人生を尊重できていたわけではありませんでした。

妻には「働いて社会貢献したい」という強い気持ちがありました。だから、本当ならば、僕はそんな彼女の思いを、自分のこととして真剣に考えなければなりませんでした。

でも、「妻は専業主婦が当たり前」という固定観念を刷り込まれていた僕は、彼女の希望をないがしろにしてしまいました。これが、15年以上かけて夫婦関係が壊れていく元凶になっています。

僕が就職した会社は転勤が当たり前で、新人のほとんどは地方に3~4年は飛ばされます。一方、彼女が就職する予定だった会社は、東京でした。もし妻も就職するとなると、必然的に離れて暮らすことになります。そんな中で、妻が就職1年目にして、いきなり産休育休を取るというのは、現実的とは考えられませんでした。一人で保育園に預けながら仕事をする、ということも考えられませんでした。

はじめから「妻が働くのは無理だ」と決めてかかっていました。

でも、考えるべきだったのです。

妻の人生を、あらゆる手で応援する

当時の僕の場合、今思えば、様々な可能性を模索することができたはずでした。

・自分の会社に東京配属を申し出る
・妻の会社に初年での産休育休の取得を願い出る
・保育園や地域サポートなどを見つけておく

そして何より、僕があらゆる可能性を考えて、妻の人生を応援する姿勢を示すことで、妻の僕に対する信頼感は深まったのではないかと思います。たとえすべてが思う通りにいかなかったとしても、「自分の人生は夫によって応援されている」と思えることは、その後の大きな力になったに違いありません。

でも、僕は妻の人生をないがしろにしてしまった。妻が自己実現するのは無理だと、僕がまっさきにあきらめてしまった。

妻にとっては、働けなくなったこと以上に、そういう男と結婚することになってしまった絶望感の方が大きかったのだろうと思います。

マスオがしっかりしていれば…

都立青山高校の「サザエさん」寸劇では、カツオもワカメも波平も、みんなサザエの思いに対して非協力的でした。でも、実はそれは大きなことではなかったかもしれません。

マスオさえしっかりとサザエを応援できていれば、ふたりは周囲の逆境を乗り越えることができたのではないでしょうか。そんな夫婦の姿を見て、周囲も変わっていく可能性があったはずです。

僕と違って高校生の男子たちは実にしっかりしています。波平役の男子生徒のコメントは、頼もしいものでした。

「母親もそうだから女性は専業主婦が普通だと思っていたけど、みんな働きたいんだな、将来結婚したらちゃんと意見を聞こう、と。職場に保育所があれば負担が減るんじゃないか、と思った」

働き方改革で「シェア」する世の中に

2017年度になって、猛烈な勢いで「働き方改革」の実践が始まりました。ダラダラした残業は削減され、高い生産性が求められる時代になりつつあります。

これまで一人で抱えていた仕事を、2~3人でシェアする形も、どんどん取り入れられるようになるでしょう。

女性の活躍の場が増えると同時に、男性も働き方、そして生き方を根本から問われることになります。

シェアする時に重要なのは共感です。そして相手を尊重する姿勢です。

都立青山高校のサザエさんの授業は、そうした共感や相手を尊重する姿勢を育むきっかけになると感じました。こういった授業が多くの学校に広まっていき、シェアする世の中になっていってほしいと願います。

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