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【ドラマの感想】NHK『透明なゆりかご』生きる意味を静かに問いかける感動作(見る方法も)

こんにちは!えいぷりおです。

2018年7月~9月、NHKで素晴らしいドラマが放送されました。

透明なゆりかご町の小さな産婦人科医院で「命」を見つめてゆく物語です。

全10話。毎回、涙腺が崩壊して大変でした。本当に素晴らしいドラマでした。

最終回を見終わった今日、この感動を書き留めておきます。

ドラマ『透明なゆりかご』とは

沖田✕華(おきた・ばっか)さんの漫画『透明なゆりかご』を原作としたドラマです。

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2018年9月現在、第7巻まで発行されていて、累計325万部を超える大ベストセラー漫画です。

脚本は安達奈緒子さん。『大切なことはすべて君が教えてくれた』(2011年1月期、フジテレビ)『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』(2017年7月期、フジテレビ)などを手がけた脚本家で、NHKのドラマは初執筆でした。

この脚本が本当に素晴らしくて、原作の持つ独特の空気感を残しながら、光に溢れた透明な優しさを見事に表現していました。

【参考図書】 安達奈緒子さんは『透明なゆりかご』の小説版も書いています。

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ドラマ初主演、清原果耶さんの透明な美しさ

ドラマ『透明なゆりかご』を見て一番の感動は、清原果耶(きよはら・かや)さんという素晴らしい女優さんを発見できたことでした。

清原さんは2002年生まれの16歳(2018年9月現在)。NHKの朝ドラ『あさが来た』で女優デビュー。今回の『透明なゆりかご』が、連続ドラマ初主演となりました。

僕が初めて清原さんを認識したのは、2017年の映画『3月のライオン』の川本ひなた役でした。

このときは正直、清原さんの魅力を感じ取ることができませんでした。いじめに立ち向かう決意をするシーンの迫真の演技が話題になりましたが、僕の中では原作漫画を超えるものではありませんでした。

【関連記事】 漫画『3月のライオン』の感想文は、こちらを。

【漫画の感想】将棋マンガの名作「3月のライオン」を読んで ―深く感じ、深く考えること―

ですが『透明なゆりかご』では、完全に清原果耶さんに魅了されてしまいました。

透明で、はかなくて、切なくて… すべてが自然体なのです。

ささやくような声は僕のたましいに直接語りかけてきて、気付いたら涙がこぼれていました。

難しい役どころだったと思います。

准看護学科に通う17歳の青田アオイは、発達障害の傾向を持っています。子供のころから思考が飛躍したり、状況が的確につかめなかったりして失敗を繰り返していました。

たくさんの挫折を経験し、母親との確執を重ねながらも、独特の感受性を育み、歪むことなく、まっすぐな心を持ち続けました。

僕自身にも発達障害の傾向があります。軽度なため診断されるレベルではありませんが、僕の場合は心に歪みが生じてしまいました。

だから、純粋な感性を持ち続けたアオイが、とてもまぶしく見えました。僕も彼女のように、自分の特性を受け入れて、まっすぐに育つことができたらよかったなぁ… と。

【関連記事】 僕自身の発達障害の経験を書きました。ちょっと重い内容ですが、ひとつの体験談としてご覧いただけたら幸いです。

僕の「大人の発達障害」体験記まとめ ーなぜ僕は自分を否定し、大切な人を傷つけてしまったのかー

ドラマの中で、毎回のように映し出されるアオイの姿が印象に残っています。

それは、アウス(人工妊娠中絶)で取り出された胎児をおさめたガラスケースを、光にかざして語りかける姿です。

人知れず消えていく命を優しいまなざしで見つめて、彼女は何を思うのか。

彼女の次の言葉は、ドラマ全体を貫くテーマとして、僕の心に深く刻まれました。

命には、望まれて生まれてくるものと人知れず消えていくものがある。

輝く命と透明な命…

わたしには、その重さはどちらも同じに思える

脇を固めるすばらしい役者たち

清原果耶さんが、しっかりと主演の存在感を示す中、すばらしい役者陣が脇を固めました。

中でも僕が感銘を受けたのは、水川あさみさんでした。

アオイの先輩看護師、望月紗也子。産科の看護師としての誇りを持ち、プロとしてクールに仕事に打ち込む女性です。

アオイの指導者として厳しい面も見せながら、思慮深い優しさを持っています。

水川あさみさんは、とても繊細に演じていて素敵でした。

僕の中では、これまで水川あさみさんは、それほど好きな女優さんではありませんでした。『のだめカンタービレ』(2006年10月期、フジテレビ)のバイオリニスト役を覚えているくらいで、それも大味な印象でした。

けれど今回の演技は、表情の陰影が美しく、言葉のひとつひとつから様々な思いが伝わってきました。現在35歳。とても魅力的な年齢の重ね方をされているなぁと感じました。

それから、産科医の由比朋寛(由比産婦人科の院長)を演じた瀬戸康史さん。

静かなたたずまいの中に熱い思いを秘め、決然と落ち着き払っていながら常に葛藤と向き合っている。

妊婦やその家族への言葉にはウソがなく、つらい告知もしっかりと正面から向き合って目を見て話す。

期待させるような言葉も、悲観させるような言葉も軽率に使うことなく、事実をまっすぐに伝える。

けれど、それが決して冷たくならず、責任を持って自らの思いを語る。

そんな医師像をしっかりと描いていました。

僕は瀬戸さんのことを不覚にも知りませんでしたが、こんな素晴らしい俳優さんがいることを知れてよかったです。現在30歳。これから注目していきたいと思います。

他にも、アオイの母親役の酒井若菜さん、看護師長役の原田美枝子さんをはじめ、1話限りの役者さんも、皆さんひとりひとりが『透明なゆりかご』の静かで優しい光に満ちた世界を作り上げていました。

全10話 ひとこと感想

ネタバレになりすぎないように、全10話に、ひとことずつ感想を書いていきます。

第1回「命のかけら」

不倫相手との子供を出産するために由比産婦人科を訪れた女性の話。

いわゆる「未受診妊婦」としての、リスクのある出産。

無事出産したものの、不倫相手の男からは「妊娠したなら、なぜ言わなかった!」と罵られ、出産を否定される。

一人で育てていく決意をして退院していったのだが…

あまりに悲しい結末。

それでも、アオイは「きっと赤ちゃんはお母さんに愛されていたと信じたい」と天を仰ぐ。

このドラマは毎回、ラストシーンでアオイの空想が映し出されます。光に溢れたそのシーンは切なく、叶わなかった思いや、変えることのできなかった運命が胸に突き刺さり、涙を止めることができません。

第2回「母性ってなに」

女子高生の出産の話。誰にも言えず自宅の風呂場で、たった一人で産み落とし、胎児を紙袋に入れて由比産婦人科の前に置き去ります。

アオイは病院の前に置かれた紙袋に気付き、胎児の命を救います。親が誰なのか分からない赤ちゃん。アオイは懸命に愛情を注ぎ、徐々に母性を抱き始めます。しかし、そこに女子高生が現れて…

女子高生は確かに胎児の命を危険にさらした。紙袋が誰にも気付かれなかったら、赤ちゃんは死んでいた。無責任な行動は許されるものではない… けれど。

彼女は出産直後のボロボロの身体で血を流しながら自転車をこぎ、激痛に叫び声を上げながら、きっと助けてくれると信じて由比産婦人科まで走り続けたのです。

僕にはこの女子高生を責めることはできないと思いました。

第3回「不機嫌な妊婦」

夫が医療事故で昏睡状態に陥ってしまった妊婦の話。

出産を楽しみにしていた夫は、もう意識を取り戻すことはなく、静かに死を待っている状態。

やり場のない怒りをアオイにぶつけながら、少しずつ心を開いていく妊婦を田畑智子さんが演じました。素晴らしかった。

出産し、赤ちゃんを連れて夫のもとへ。意識がないはずの夫が一筋の涙を流した瞬間、僕の涙腺も崩壊してしまいました。

この話には、もうひとりの影の登場人物がいました。夫が昏睡状態に陥る原因となってしまった若い麻酔科医です。

彼は決定的な医療ミスをしたわけではありません。

けれど、もう少し早く喉頭痙攣に気付けたのではないか。もう少し手際よく挿管できたのではないか。そんなふうに、ずっと自分を責め続けているのです。

残された妻と赤ちゃんの無念がいつか癒やされることを、そして罪悪感を背負い続ける麻酔科医がいつか自分を許せる日がくることを、願わずにはいれらません。

第4回「産科危機」

悲しすぎる母体死亡の話。

出産直後、母体の状態が急変。出血が止まらなくなり、救急搬送された先の病院で亡くなります。

容態急変のシーンは、極限の緊迫感がみなぎる凄まじいシーンとなっていました。NHKドラマ班のチーム力に脱帽です。

乳飲み子を残され呆然となる若い父親。

仕事と赤ちゃんの世話で追い詰められ、自殺をはかる彼のもとに、思いがけない形で天国の妻からメッセージが…

もう僕の瞳は涙で何も見えなくなってしまいました。

第5回「14歳の妊娠」

14歳で妊娠した少女の話。これは由比先生が大きな病院に勤務していた9年前の出来事。

世間知らずの少女は男に騙されたことを認められず、周囲の反対を振り切って産むと言い張ります。

当初反対していた母親は、ふとした瞬間に、自分が娘の自立を妨げていたことに気付き、出産を受け入れます。

しかし、その母親は少女の出産直後に急死。頼りにしていた母親を失い、乳飲み子を抱えて絶望する少女。

でも、

あなたはママになるのよ

と厳しくも優しいまなざしで語りかけてくれた母親の言葉が、その後の少女の道標(みちしるべ)となります。

9年後に由比産婦人科を訪ねてきた彼女は23歳に。そして息子は生意気ざかりの9歳の少年に。

過去のいきさつを知ったアオイ。

いったい、どうやって育ててきたのだろう…

と、14歳だった少女が乗り越えてきた9年間に思いを馳せます。

想像を絶する日々を思うと、僕は自分が置かれた状況など恵まれたものだと痛感するのでした。

第6回「いつか望んだとき」

中絶する17歳の少女と、何も聞かずに中絶を淡々と受け入れる老医師の話。

少女と同い年のアオイは、中絶に賛同することができません。

そんなアオイに由比先生がかけた言葉。

人工妊娠中絶は、できたら僕もやりたくない。

でも、いつかその女性が望んだときに妊娠できるよう、できるだけ丁寧に処置をする…

いつか望んだときのために、いま消えていく命。

命ってなんだろう…?

僕もアオイのように考え込んでしまうのでした。

それにしても、老医師のイッセー尾形さん、ほんと最高でした。

第7回「小さな手帳」

母親から虐待されて育った少女の出産の話。

アオイの小学校時代の同級生。

母親からの常軌を逸した虐待を受けながらも、彼女が肌身離さず持っていた宝物は、自分が生まれたときの母子手帳でした。

母子手帳は、母親が自分を愛してくれた証。それさえあれば、どんなひどい虐待にも耐えることができる…

次は自分が母親に。今この瞬間の愛おしい気持ちを残しておこうと、彼女は母子手帳に思いを書きつづります。

同級生の話と並行する形で、アオイの子供時代が初めて描かれます。

ずっと謎に包まれていた母親(酒井若菜)との関係も明らかになります。

空想の世界に入ってしまうと周囲の状況が分からなくなるアオイ。善意でやったことがトラブルを招き、母親を困惑させてきました。

アオイにADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向があると専門家から告げられたときの、母親の安堵とも諦めともつかない表情…

アオイは、自分のせいで母親がどれだけ苦労してきたのかと思い知ります。

母親がADHDのことを理解し、優しくなってくれたあともずっと、「お母さんは私のことを好きじゃない」と思い続けてきました。

そんなアオイの心の傷を癒やしたのも、母子手帳でした。母親の愛がつまった小さな手帳。

僕は自分の子供たちに、どれだけ愛情を注げてきただろうか?

僕がいなくなったとき、子供たちが僕の愛を思い出せる「証」を残せているだろうか?

そんなことを考えました。

第8回「妊婦たちの不安」

仕事と出産の間で葛藤する女性たちの話。

よくあるテーマかもしれませんが、女性たちの細やかな演技によって、揺れる心情が繊細に描き出されていました。

アオイの先輩、水川あさみさん演じる看護師にスポットが当たります。

いつも強く優しい彼女が、悩み、迷い、葛藤する。陰りのある表情が胸に迫り、妊娠・出産が女性にとって、いかに大きな出来事なのかが伝わってきました。

ちょっとダメな夫を演じたのは、柄本時生(えもと・ときお)さん。お父さんの柄本明さんも、お兄さんの柄本佑さんも素晴らしい役者ですが、この方の存在感も格別です。

妻の妊娠を機に夫も少しずつ成長し、夫婦の関係を深めていく姿を見て、「あぁ僕にはこれができなかったのだ」と身に染みました。

妊娠・出産は男性にとっても大きな成長の機会です。その時しっかり向き合えるかどうかが、その後の人生を決定づけるのだと改めて思いました。

第9回「透明な子」

父親から性暴力を受けた少女の話。まだあどけない小学生の女の子です。

父親といっても、再婚した血の繋がりのない父親。

病院に連れて来られた少女は、しゃべることも、水を飲むこともできない状態。目には何も映っていない。少女の受けたショックの大きさに、胸が張り裂けそうになりました。

性暴力は絶対に許されない犯罪。しかも子供に対して…

父親という立場を利用して、幼い女の子に繰り返し性暴力を行い、「みんなやっていること」「お母さんが悲しむから誰にも言うな」と口止めしてきた卑劣な男。

一見まともな人物を装い、娘を心配する父親を演じる姿に、殺意さえ覚えました。

心を破壊されてしまった少女の心を、アオイはどのように癒やしたのか。それはぜひドラマをご覧ください。

最終回「7日間の命」

重い病気を抱えた赤ちゃんを出産する決意をした夫婦の話。

無事に出産できても長くは生きられない。中絶の選択肢も十分考えられるケースです。

でも胎動を感じ取った妻は、中絶を拒絶します。もう母親になりはじめていたのです。

母親役は鈴木杏さん。そして父親役は金井勇太さん。

このふたりの圧巻の演技は『透明なゆりかご』の最終回にふさわしいものでした。涙なくしては見ることはできません。

父親の自覚が持てなかった夫が、妻に寄り添い、ともに胎動を感じながら少しずつ父親になっていきます。

しかし夫婦には、さらなる難題が突きつけられます。

無事に生まれてきたとして、その赤ちゃんに積極的治療をほどこすかどうか、という選択です。

積極的治療をして、1日でも長く生きられるようにしてあげたい。でも、それは本当に赤ちゃんのためになるのだろうか…?

赤ちゃんの望みとは、いったい何…?

あまりにも残酷な問い。どちらの道を選んでも、きっと後悔が残る、つらい選択です。

夫婦の出した答えとは?

ラストシーンで、アオイが彼らにかけた言葉には、「命」への根源的な答えが込められていました。

アオイが何を語ったのか。それはぜひ、ご自分の目でご覧になってください。

(このあと、このドラマを見る方法をお伝えします)

『透明なゆりかご』を見る方法

『透明なゆりかご』の放送はすでに終了してしまい、再放送の予定はありません。

でも、見ることができるのです!

NHKオンデマンドというインターネット配信サービスを使えば、全話見ることができます。

「特選見放題パック」という月額972円のサービスに加入していると、追加料金なしで見ることができます。

また、1話ごとに単品216円で見ることも可能です(ただし購入後3日間しか見ることができないので要注意)。

NHKオンデマンドで『透明なゆりかご』を見てみる

注意
ここに記したNHKオンデマンドに関する情報は、2018年9月時点のものです。配信サービスが終了したり、価格が変動する可能性がありますので、詳しくはNHKオンデマンドのサイトでご確認ください。

妊娠・出産にまつわる名作ドラマ

妊娠・出産にまつわるドラマには、感動作が多い気がします。

中でも僕が大好きだったのは、綾野剛さん主演の『コウノドリ』です。コウノドリを見ての記事もいくつか書いてきました。こちらもご覧いただけたらうれしいです。

【ドラマの感想】『コウノドリ』2017年 第3話 産後うつの深刻な現実、そして父親になるとは?
【ドラマの感想】『コウノドリ』2017年 第3話 医療的に無痛分娩が必要なケースについて
【ドラマの感想】『コウノドリ』2017年 第4話 帝王切開に罪悪感を持つ妊婦さんについて
【ドラマの感想】『コウノドリ』2017年 第5話 おなかの中で亡くなった赤ちゃんの話
【ドラマの感想】『コウノドリ』2017年 第6話 母体死亡の悲しみに向き合う

えいぷりお的まとめ

妊娠・出産の過程には、そこに関わる人間の様々な面があらわれます。

自分自身やパートナーの思いがけない一面に出会って戸惑うこともあります。

理不尽な悲しみに見舞われることもあるかもしれません。

そこに向き合っていけるか。妊娠・出産に関わるすべての人が、全人格を問われることになります。

『透明なゆりかご』は、そんな様々な人生の断片を、光で包み込むように、優しく、繊細に描き出します。

本当に本当に、あなたに見てもらいたいです。

〔関連書籍〕最後に、沖田✕華さんの原作漫画と、脚本家・安達奈緒子さんの小説をもう一度ご紹介しておきます。ぜひこちらも読んでみてください。

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【関連記事】 僕は派手な演出のドラマより、しっとりと心の陰影を描く作品が好きです。これまでに書いたドラマの感想はこちら。

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