こんにちは! 40代になっても惑い続けている、えいぷりおです。
2018年9~10月、NHKで放送されたドラマ『不惑のスクラム』は、中年男性は必見!涙なくしては見られない作品でした。
全7話。舞台は大阪です。
最終回を見終わって涙が乾ききらないうちに、感想を書き留めておきます。
ドラマ『不惑のスクラム』とは
ドラマ『不惑のスクラム』は、作家・安藤祐介さんの小説(2016年)を原作としています。
高橋克典さん演じる主人公は、6年前に人を死なせてしまい服役していた丸川良平。
逮捕された日は、愛娘の3歳の誕生日でした。「殺人者の娘にしてはいけない」と思い詰め、服役中に妻とは離婚。
出所してきた丸川は生きる希望を失い、死に場所を探します。
そんな彼の足下にラグビーボールが転がってきます。ボールを追ってきた老人に「人数不足だから」と無理矢理連れていかれた河川敷。
そこで行われていたのは、40歳以上の選手による 「不惑ラグビー」でした。年代も境遇もバラバラな男たちの泥まみれの姿。
彼らとの交流を通じて、丸川は再び生き始めるー そんな物語です。
ラグビーチームのメンバーは、40代以上の男たち。職場や家庭で悩みを抱える者たちが、週末のラグビーだけを心の拠り所にして懸命に生きています。
そんな彼らの姿を自分に重ねて、僕は毎回、胸を熱くしながら見ていました。
高橋克典さんは影のある役が似合う
主人公の丸川を演じた高橋克典さん、素晴らしかったです。
傷害致死事件の罪を背負い、妻と娘に会えない悲しみを胸に秘めた男の悲哀。
高橋克典さんには、こういう役がすごく似合う。
高橋さんと言えば『サラリーマン金太郎』や『特命係長只野仁』が有名ですが、僕は『チーム・バチスタ』シリーズ第3作『アリアドネの弾丸』という作品がすごく印象に残っています。
ニコリともしない超硬派な警視長の役でしたが、後悔や葛藤を内に秘め、鋼鉄のような存在感を示していました。
今回の丸川良平役はそれとはまったく違う人物像ですが、悲しみを秘めた姿には共通するものがあり、高橋さんの真骨頂だと感じました。
40代を超えても男たちは惑い続ける
不惑ラグビーチームには、年齢も境遇もバラバラな男たちが集っています。
僕の印象に残ったのは、渡辺いっけいさん演じるチームのムードメーカー、陣野進。
会社では隅に追いやられ、部下からもいびられる情けないサラリーマン。10年以上前に妻が他の男と蒸発している。高校生の娘との関係もぎくしゃくしている。
そんな彼が、丸川と出会うことで、娘と向き合えるようになっていくシーンがありました。同じく思春期の娘を持つ僕は、激しく共感してしまいました。
そして、村田雄浩さん演じるキャプテン、金田順三。
彼は15年前に愛する妻を病気で亡くしています。子供はいません。市役所の建築課に勤務。妻が死んでから働く意欲を失い、週末のラグビーだけが生き甲斐となっています。
丸川が別れた妻と会えるよう、一番親身になったのが彼でした。普段は厳しいキャプテンである彼が、悩みながら丸川を励ます姿は、胸を打つものがありました。
徳井優さん演じるチームの事務係、緒方真一郎。
会社ではうだつが上がらず、家では年老いた母の介護。ラグビーは初心者で身体も小さくプレーではあまり役に立てない。でも事務仕事をすべて引き受けてチームに貢献することを何よりの喜びにしている。
そんな彼には、よき理解者である妻がいます。日常ですり減った心をラグビーが癒やしていることを、妻はよく分かっているのです。
うらやましいなぁ… 夫婦関係を破綻させてしまった僕から見たら、彼は人生の勝者です。
【関連記事】 僕が妻との関係を壊してしまい、家庭内別居になってしまった経緯を書きました。
僕が家庭内別居になった理由(体験談)高橋光臣さん演じるチーム最年少の40歳、二階堂謙信も印象的なキャラクターでした。
彼はいつも何かにおびえています。社会の中でうまく立ち回ることができず、浮いた存在になってしまいます。おそらく軽度の発達障害の傾向を持っているのでしょう。空気を読むことができません。
エンジニアとしては優秀で仕事に生き甲斐を感じていたのに、不本意な昇進で管理職になってしまい、会社での居場所を失っています。
そんな彼が人生を変えるために渾身のトライを決めるシーンは感動的でした。仲間とボールを繋いだ結果としてのトライ。この経験が彼の人生に光をもたらします。
【関連記事】 大人の発達障害に関する僕の体験記事はこちら。
僕の「大人の発達障害」体験記まとめ ーなぜ僕は自分を否定し、大切な人を傷つけてしまったのかー他にもたくさんの中年男性たちが登場します。トレンディドラマとは真逆の、土の匂いにまみれたおっさんたちのドラマ。
だからこそ、人生に様々な悩みを抱えた僕たち中年男性は彼らにエールを送りたくなります。そして気付けば彼らに励まされているのです。
罪を背負った丸川 妻・娘との再会
この物語のクライマックスは、丸川が妻・娘と再開する最終回です。
妻役は戸田菜穂さん。
服役中に離婚。でも彼女は丸川を信じて待っていました。そんな妻の気持ちを知らず、彼は出所しても会いに行こうとしませんでした。
ラグビーチームの仲間たちの計らいで再会を果たしたふたり。
6年間の別離ですれ違ってしまった思いが、再び繋がりはじめます。
そのきっかけとなったのは、娘の存在でした。
丸川が逮捕されたとき、娘はまだ3歳。父親の顔を覚えていません。
9歳になった娘はラグビー教室で「コーチの丸さん」にキックやパスを教わります。
このシーンで号泣しない父親はいないでしょう。僕の涙腺は完全崩壊です。
ずっと会いたかった娘との再会。でも丸川は自分が父親であることを伝えられないのです。
彼は娘にひとつのメッセージを伝えます。
「自分を信じること」
丸川は、もう会うことのないかもしれない愛娘に、人生でもっとも大切な言葉を伝えたかったのだと思います。
僕は自分の娘に何を伝えられるだろうか… そんなことを考えながら最後のシーンを見ていました。
【関連記事】 僕が娘に伝えたいことは「君はありのままでいいんだよ」。いつか伝わればと思っています。
【父から娘へのメッセージ】自分を否定しないでほしい 君はそのままで愛される存在だよ『不惑のスクラム』を見る方法
『不惑のスクラム』の放送はすでに終了してしまい、再放送の予定はありません。
でも、見ることができるのです!
NHKオンデマンドというインターネット配信サービスを使えば、全話見ることができます。
「特選見放題パック」という月額972円のサービスに加入していると、追加料金なしで見ることができます。
また、1話ごとに単品108円で見ることも可能です(ただし購入後3日間しか見ることができないので要注意)。
【参考図書】 このドラマの原作、作家・安藤祐介さんの小説(2016年)はこちら。
えいぷりお的まとめ
NHKのドラマは、民法のドラマとはまったく違います。
見掛け倒しの演出はなく、人間の本質を丁寧に描く作品が多いように思います。
【関連記事】 2018年7~9月に放送された『透明なゆりかご』も本当に素晴らしい作品でした。
【ドラマの感想】NHK『透明なゆりかご』生きる意味を静かに問いかける感動作(見る方法も)『不惑のスクラム』は、40代を過ぎた男に、人生を問いかけるドラマでした。
仕事とは… 夫婦とは… 親子とは… 人生とは…
僕にとって忘れられないドラマとなりました。
【関連記事】 僕は派手な演出のドラマより、しっとりと心の陰影を描く作品が好きです。これまでに書いたドラマの感想はこちら。
【ドラマの感想】吉岡里帆主演『きみが心に棲みついた』は共依存をテーマにした深い作品【ドラマの感想】『僕らは奇跡でできている』相河一輝(高橋一生さん)の心に響く名言まとめ