こんにちは。えいぷりおです。
夫婦関係が壊れる大きな原因となる「産後クライシス」。
僕自身も妊娠・出産をきっかけに妻との関係が壊れてしまいました。
妻はどのように夫への愛情を失い、強い憎しみを抱くようになるのか。具体的な実例を見ることで、その過程が見えてきます。
この記事は、「産後クライシス」をテーマに書いた連載のひとつです。
今回は「産後クライシスの実例」について、2012年9月に放送されたNHK「あさイチ」などから引用してご紹介します。
【産後クライシス】
妻の憎しみは夫の理解を超える
最初にご紹介する実例は、東洋経済オンラインからの引用です。
産後クライシスの行き着く先の、殺伐とした絶望的な状況が、夫の視点で書かれています。
朝食を終えたリビング。妻は寝起きのままのパジャマ姿で子どもを抱えて、疲れた目でテレビのワイドショーを見ている。
見るからに不機嫌な妻に気を遣い、テーブルの上の皿を全部、台所に持っていく。台ふきでテーブルを少しふいて、洗い物を始める。最近、皿洗いをするときは、裏側に油分が残っていないかなど、すみずみまで意識をめぐらせて、慎重に行うようになった。
さて、皿洗いはだいたいできた。後は排水溝のヌルヌルをとって終わろう。
それを見ていた妻。突然、何かのスイッチが入った。
「排水溝のヌルヌルの取り方が違う! 何度言ったらわかるの。やり直してよ!」
「!?」
やむなくもう一度、やり直した。しかし、その途中で妻がまた一言。
「本当に下手! やっぱり、もういい。後で私がやるから、そのままにしといて!!」
その後のことはあまり覚えていない。ただ、すさまじく長い間、堂々巡りの口論をしたような……。
なぜ、彼女はせっせと家事をこなしている夫(私)にいらだち、排水溝の洗い方ひとつで、こんなにも不機嫌になれるのだろう。彼女は昔からこんなふうだったのか。何が彼女をこんなふうに変えてしまったんだ? いったい、何が?
(引用:東洋経済ONLINE)
このエピソードを読んで、「なんて理不尽な奥さんなんだ」と夫に同情する意見もあると思います。
僕自身、身をつまされるような気持ちで、この記事を読みました。ここに書かれているのと同じように、僕も妻からの理不尽な仕打ちにあってきました。
ですが、本当の問題は、なぜ妻はこんな状態になってしまったのか、ということです。その原因に向き合わなければ、産後クライシスの本質は見えてきません。
父親になりきれない未熟な夫
妻が夫に憎しみを抱くようになる原因は、夫が未熟なまま父親としての自覚を持とうとしないことにあります。
そうした実例のひとつが、2012年9月5日にNHKで放送された「あさイチ」の中で、再現VTRを交えて詳しく紹介されました。
取材に応じたのは、30代女性。初めての出産は10年前。しかし今でも産後に受けた心の傷が癒えないと言います。
「子供が生まれてから、夫の言動に対して、『あれ、あれれ?』というのが増えていって、つらかった」
妊娠中は幸せだった。夫は胎教のためのCDを買って帰ってきたりして、おなかの赤ちゃんに対する思いやりを見せていた。
「生まれる前までは、このままいいパパになれる人なんだなと思って、期待して、楽しみにしていました」
ところが子供が生まれてみると、子供が泣いても「おーい、泣いてるぞ」と、対応はいつも妻任せ。
夜飲みに行くのを減らして、協力してくれるよう何度頼んでも、改善してくれない。「飲むのも仕方ないだろ、付き合いなんだから」と言って、一切対応してくれない。
夫の育児への参加は、まったく満足のいくものではなかったと言います。その上、家事に対しても、「うちは散らかっているし。ちゃんとしろよ」と言われ、心身ともの疲弊していく。
「一番、今も心に残っているのが、飲んできてベロンベロンになっていたとき、『子供が泣いてばかりのシケた家に、本当は帰ってきたくないんだよ!』と言われたこと。それが、本当に頭にくるというか、悲しいというか・・・忘れられないんです」
一方で夫は、二人目の子供をほしがった。妻も、今度こそ夫も変わってくれると思い、応じた。夫は育児休暇を取得。
ところが、入院中の妻のところに持ってきたのは、自分のためのおもちゃだった。育休中も夫は、自分の趣味のために時間を使うことが多かったと言う。
「主人としてはとても楽しかったんでしょうけれど、私としては怒りまくりだった。育休じゃないじゃん!自分のための、ただの休暇じゃん!って。自分のやりたいことばかりを優先して・・・この人は父親にはなっていないと思いました」
子供が少し大きくなると、夫は子供を連れて出かけるように。しかしここにも問題があった。外に連れ出すのは3歳を過ぎた上の子だけ。下の子の相手はほとんどしなかったのだ。まだ手がかかる赤ちゃんを、避けているように見えた。そして、上の子との遊び方も、自分の趣味に子供を付き合わせ、自分ばかり楽しんでいた。
「自分はおいしいところだけ。楽なところだけをやって、面倒くさいのは全部わたしに押しつけてくる。それで十分だと思っている。本人は『自分以上のイクメンはいないだろう』と言っていたくらいですから」
妻は今、自分と子供の生活のためだけに結婚を続けていると言う。夫への不満があっても、顔に出す気力もなくなった。心の中で「金のため、金のため」と繰り返して我慢している。
「夫は仲良くないとは思っていないでしょう。私も表面的にはそれなりに振る舞っているので。離婚を仮にしたとして、その後の主人の生活が楽しくなるのは悔しい。私は苦しい思いをしてでも、経済的には夫にすがっていきます。退職金を一人で使わせる気はありません」
・・・いかがでしょうか。これだけの憎しみを夫に対して抱きながらも、経済的な理由で結婚生活を続ける。まさに家庭内別居の状態。
とても幸せとは言えない状況ですよね。でも、そうするしかない。こういう夫婦が、本当に多くいるんだと思います。
この実例から、妻が夫に対して不満を抱くポイントは、次の2点でした。
【妻が夫に抱く不満】
- 夫が自分の楽しみを優先する
- 夫が楽な関わり方しかしない
男性の皆さんは、このポイントを肝に銘じておきましょう。
夫への恨みは一生消えない
番組のスタジオでは、放送中に寄せられたFAXも多数読み上げられました。その中からいくつかピックアップしてみます。
「産後の夫の非協力的な態度、言動すべてがトラウマとなり、第2子をあきらめました。家事が追いつかない、疲れてしまう、そういう私の事情がまったく理解できないようでした。
心の傷が癒えず、10年経った今も引きずっています。一生恨みの気持ちを持ったまま過ごすんだと思います」
「一生恨みの気持ちを持ったまま過ごす」というのは、決して大げさな表現ではありません。
このときの心の傷が、20年以上経って子供が成人してから「熟年離婚」という形で顕在化することも珍しくないのです。
もう一つの実例がこちら。
「夜泣きが激しいので、仕事に差し障るということで、夫は別室で寝ることになりました。
ところが、寝ているのかと思ったら、部屋にこもってゲーム。子供が熱を出していても、酔っ払ってゲームやDVD鑑賞ばかり。
ちっとも子育てに協力してこなかったのに、子供が大きくなると父親面してむかつきます。
子供のために離婚は避けていますが、心は冷め切っています。あと10年は我慢かな」
えいぷりお的まとめ
これらの実例から分かるように、産後クライシスというのは一過性のものではなく、その後の人生全体に影響を及ぼすほど重いものなのです。
夫婦が仲良く添い遂げるには、妊娠・出産を機に、夫が人間的に成長して「本当の父親」にならなければいけません。
【産後クライシス】