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家庭内別居は経済的にお得!? 生活費(婚姻費用)の分担、離婚した場合との比較

こんにちは。えいぷりおです。

夫婦が不仲になって、家庭内別居の状態になってしまうと、生活費をどう分け合うかという問題が出てきます。

どんなに関係が壊れていたとしても、婚姻関係が続いている以上は、生活費(婚姻費用)を分担、つまり助け合うことが民法で義務づけられています。

では、生活費(婚姻費用)は、どのように分担されるのでしょうか。

この記事は、家庭内別居の悲哀というテーマで書いた連載のひとつです。

夫婦関係に悩む方の参考になればと思い、僕の失敗談を交えながら、今回は家庭内別居の経済的な事情を書いていきます。

家庭内別居でも婚姻費用の分担はしなければならない

まず、婚姻費用(こんいんひよう)とは何かを見ていきましょう。

婚姻費用とは、家族(夫婦と子供)が、通常の社会生活を維持するために必要な費用のことで、具体的には次のものが含まれます。

【婚姻費用とは】

  • 居住費
  • 食費や光熱費など
  • 子供の学費

婚姻費用は、夫婦がそれぞれの収入に応じて分担しなければなりません(民法760条)。

別居していても、離婚していないのであれば分担の義務があり、収入の多い方が少ない方に対してお金を支払わなければなりません。

「別居になった途端、夫が生活費を入れてくれなくなった」

というような場合には、夫は義務を果たしていないことになり、妻は家庭裁判所に調停を起こして夫に請求することができます。

これを婚姻費用の分担請求といいます。

これは、家庭内別居についても当てはまります。

不仲であっても、生活・育児のためのお金はルールに従ってきちんと分担し、助け合わなければならないのです。

【関連記事】 家庭内別居になったら早めに話し合っておきたい10のルールはこちら。

家庭内別居のルール10項目 ー最低限のマナーを守って平穏に過ごすコツー

婚姻費用の算出の仕方

では、婚姻費用の分担額は、どのくらいの金額なのでしょうか。

それを算出するのが「婚姻費用算定表」です。

▼このような表で、縦軸に支払う側(義務者)の年収、横軸に受け取る側(権利者)の年収をとります。その交点が支払う金額となります。

婚姻費用算定表には、子供の人数と年齢によって10種類あります。

【婚姻費用算定表の場合分け】

  • 夫婦のみ

  • 子1人
    → 0~14歳
    → 15~19歳

  • 子2人
    → 2人とも0~14歳
    → 第1子15~19歳,第2子0~14歳
    → 2人とも15~19歳

  • 子3人
    → 3人とも0~14歳
    → 第1子15~19歳、第2子と第3子0~14歳
    → 第1子と第2子15~19歳、第3子0~14歳
    → 3人とも15~19歳

該当するシートを使って算出します。

年収というのは、給与所得者の場合は、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)を指します。

自営業者の場合は、確定申告書の「課税される所得金額」を指します。

国や自治体からもらう子供手当などは、年収に入れる必要はありません。

それでは、2つのケースを例に婚姻費用をシュミレーションしてみましょう。

(今回は夫の方が年収が多く、夫が妻に婚姻費用を支払う設定にしています)

ケース1 妻が専業主婦+子供2人の場合

まず最初に、次の条件で算出してみましょう。

【ケース1】

  • 夫の年収は500万円
  • 妻は専業主婦
  • 子供は2人
  • 第1子は15歳以上
  • 第2子は14歳以下

10種類ある算定表から、この条件に合う「子2人(第1子15~19歳,第2子0~14歳)」のシートを使います。

縦軸に支払う側(義務者)の年収を取ります。今回の場合は「給与で500万円」です。

横軸に受け取る側(権利者)の年収を取ります。今回の場合は「0円」です。

縦軸と横軸の交わる点を赤い四角で示しています。その結果、夫が妻に月々支払う生活費(婚姻費用)は10~12万円と算出されました。

この金額を参考にして、個々の事情に応じて夫婦で相談して実際の金額を決めることになります。

ケース2 共働き+子供1人の場合

もうひとつ、次の条件で算出してみましょう。

【ケース2】

  • 夫の年収は400万円
  • 妻の年収は100万円(共働き)
  • 子供は1人で14歳以下

10種類ある算定表から、この条件に合う「子1人(0~14歳)」のシートを使います。

縦軸に支払う側(義務者)の年収を取ります。今回の場合は「給与で400万円」です。

横軸に受け取る側(権利者)の年収を取ります。今回の場合は「給与で100万円」です。

縦軸と横軸の交わる点を赤い四角で示しています。その結果、夫が妻に月々支払う生活費(婚姻費用)は6~8万円と算出されました。

離婚すると子供の養育費のみになる

ケース1とケース2の夫婦が離婚した場合、経済的な状況はどのように変わるのでしょうか。

簡単に言うと、「婚姻費用」に含まれていた妻の生活費がなくなり、子供の「養育費」のみが支払われるようになります。

先ほどの「婚姻費用算定表」のPDFは、前半が「養育費算定表」になっています。その表で養育費を算出することができます。

養育費というのは、子供が社会的に自立するまでに必要な費用のことで、子供の学費、食費、服飾費、医療費、娯楽費などが含まれます。

ケース1とケース2の条件で、それぞれ養育費を算出すると、次のようになります。

【ケース1】

  • 婚姻費用(離婚前)→10~12万円
  • 養育費(離婚後)→8~10万円

【ケース2】

  • 婚姻費用(離婚前)→6~8万円
  • 養育費(離婚後)→2~4万円

このように、離婚すると夫から妻への月々の支払いが約2~4万円ほど減ることが分かります。

だから家庭内別居から離婚に踏み切るのは難しい

妻の側にとっては、このような経済的な事情が、離婚に踏み切れない大きな要因になります。

離婚すると住まいの問題も出てきます。

月々もらえる額が減る上に、新たに家賃が発生するのは大変な負担となります。

妻は、新たな家賃と自分の生活費を稼ぐために、仕事を始める(増やす)ことになるでしょう。

ところが、妻の年収が増えると、夫からの養育費がさらに減ってしまいます。

一方、夫の月々の支払いは減ります。

しかし、家庭内別居の経済的なメリット(家賃・食費・光熱費などが1本化され無駄が出ない)がなくなるので、夫の生活も厳しくなることが予想されます。

(今回のケースでは慰謝料については考えていません)

えいぷりお的まとめ

夫婦の関係が壊れて、家庭内別居の状態になってしまったら、婚姻費用の分担についてお互いに合意しておいた方がいいと思います。

お金についての共通認識を持つことで、家庭内別居を続けるのか、それとも別居するのか、はたまた離婚に踏み切るのかを、話し合いやすくなるでしょう。

【つづき】 「家庭内別居のメリット!?」の記事はこちら。

家庭内別居のメリット!? 距離を置いてお互いに自分らしく生きるのも悪くない…?

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