こんにちは。そなてぃねです。
2019年4月27~28日に、滋賀県大津市のびわ湖ホールで行われた「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭2019」に行ってきました。
平成から令和に移りゆく大型連休。美しい湖畔で音楽三昧の2日間を堪能しました。
この記事では、実際に行った感想、たくさんの演奏会を楽しむコツ、現地でのお食事などについてお伝えします。
近江の春 びわ湖クラシック音楽祭とは
「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」は、2010年から2017年まで「ラ・フォル・ジュルネびわ湖『熱狂の日』音楽祭」というタイトルで行われていたイベントが、2018年から改称されたものです。
びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典さんがプロデュースし、ゴールデンウィーク期間に2日間、開催されます。
一流アーティストやオーケストラのほか、滋賀県の伝統芸能や、地元高校生たちが出演するステージなど盛りだくさんです。
2019年のラインナップ
この音楽祭のテーマは、有名なオペラ・アリアから引用されます。
2019年のテーマは「神よ、平和を与えたまえ」。ヴェルディの歌劇「運命の力」の一節から取られた言葉です。
それぞれのコンサートは、このテーマに基づいた内容になっています。
▼2日間のプログラムは、こんな感じです。
ご覧にように、2日間でなんと50公演!
会場は5つあって、びわ湖ホールの3つのホール(大ホール、中ホール、小ホール)が中心となります。
大ホールでは、主にオーケストラによる40分~1時間ほどのコンサートが行われます。
中ホールと小ホールでは、1コマ40分の室内楽や声楽のコンサートが、ずらりと並びます。
メインロビーでは、1コマ20分の無料コンサートも行われます。主に地元のジュニアオーケストラなどですが、クオリティの高いプロの演奏もあります。
それに加えて、びわ湖の見える湖畔広場でも、無料のコンサートが行われます。夜には、かがり火を灯してモーツァルトの「レクイエム」も演奏されます(有料)。
隣接するピアザホールでは、「0歳児からのコンサート」が計4公演(すべて全席1000円)が組まれています。
僕が楽しんだ17のコンサート
僕は2日間で、なんと17のコンサートをはしごしました!
▼まずは初日。8公演を渡り歩きました。
▼そして2日目。9公演を駆け回りました。
コンサートとコンサートの間には、10~15分ほどの間隔があるので、移動しながら次々に楽しむことができます。
聴きたいコンサートが同じ時間帯に重なると悩みますが、自分なりのスケジュールを組むのは楽しいものです。
それでは、僕が聴きに行った17のコンサートについて、感想を織り交ぜながら簡単にご紹介していきましょう。
1日目に聴いた8つのコンサートの感想
僕が1日目に聴いた8つのコンサートは、このようなラインナップです。
- 京都市交響楽団によるオープニング
- 若手チェリスト 佐藤晴真
- 国際コンクール優勝の葵トリオ
- 女性チェリストの無料コンサート
- プーランクの歌劇「人間の声」
- びわ湖ホール声楽アンサンブル
- 世界的ピアニスト、リフシッツ
- びわ湖ホール四大テノール
ひとつずつ見ていきましょう。
京都市交響楽団によるオープニング
▼会場に到着して最初に聴いたのが、大ホールで行われた京都市交響楽団によるオープニングコンサートです。
(公式サイトから引用)
【オープニングコンサート】
11:00~12:00 大ホール
- ヴェルディ作曲
歌劇「運命の力」から序曲
「神よ、平和を与えたまえ」 - ドボルザーク作曲
チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
ソプラノ:中村恵理
チェロ:ユリアン・シュテッケル
管弦楽:京都市交響楽団
指揮:沼尻竜典
S席2000円/A席1500円
そなてぃね感激度 ★★★★☆
国際的に活躍するソプラノ、中村恵理さんによるヴェルディのアリア「神よ、平和を与えたまえ」が感動的でした。情熱的で深い陰影があって、魂に響く歌声でした。
チェロのシュテッケルは2010年のミュンヘン国際音楽コンクールで優勝した逸材ですが、うーん… 僕の心にはあまり響きませんでした。
それにしても、一流ソリストを2人招いてのフルオーケストラの公演が、2000円で聴けるなんて、すごくないですか!?
さあ、15分後には小ホールで次のコンサート。遅れないように、終演後はすぐに移動です。
若手チェリスト 佐藤晴真
▼次に聴きに行ったのは、20歳の俊英、佐藤晴真(さとう・はるま)さんのチェロです。
(公式サイトから引用)
12:15~12:55 小ホール
- ベートーベン作曲
チェロ・ソナタ 第4番 - シュニトケ作曲
チェロ・ソナタ 第1番
チェロ:佐藤晴真
ピアノ:薗田奈緒子
全席1000円
そなてぃね感激度 ★★★☆☆
佐藤晴真さんは、2018年に行われた第11回ルトスワフスキ国際チェロ・コンクール(ポーランド)で優勝した期待の新星です。
集中力の高い、素晴らしい演奏でした。特にシュニトケはピアノの薗田奈緒子さんとの鬼気迫るアンサンブルに圧倒されました。
アンコールで演奏してくれた、シューマンの「献呈」も心のこもった素敵な演奏でした。
【追記】 佐藤晴真さんはその後、2019年9月のミュンヘン国際コンクールで優勝!今後ますます世界に羽ばたいていくでしょう。
国際コンクール優勝の葵トリオ
▼次は、以前からライブを聴きたいと思っていた葵(あおい)トリオです。
(公式サイトから引用)
13:05~13:50 中ホール
- ベートーベン作曲
ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調 作品70-1 - マルティヌー作曲
ピアノ三重奏曲 第3番 ハ長調 H.332
バイオリン:小川響子
チェロ:伊東裕
ピアノ:秋元孝介
全席1000円
そなてぃね感激度 ★★★★☆
葵トリオは、2018年のミュンヘン国際音楽コンクールで優勝した注目のトリオです。
とにかく3人とも、めちゃくちゃ上手!
ピアノの秋元さんが緩急自在のテクニックで全体をしっかりと支え、伊東さんの清潔感のある伸びやかなチェロと、小川さんの楷書体の折り目正しいバイオリンが、素晴らしいバランスをなしています。
一番印象に残ったのは、アンコールで弾いたハイドンのピアノ三重奏曲 第27番 ハ長調の第3楽章。
冒頭のピアノから軽やかさと切れ味が抜群で、天空に駆け上がっていくような爽快感に満ちていました。
次はメインロビーの仮設ステージで、無料コンサートを楽しみます。
女性チェリストの無料コンサート
▼こちらがメインロビーの仮設ステージ。外光の差し込む素敵な空間です。
14:30~14:50 メインロビー
- メンデルスゾーン作曲
チェロソナタ第2番 ニ長調 作品58 他
チェロ:増山頌子
ピアノ:(メモし忘れた…)
無料
そなてぃね感激度 ★★★☆☆
ちょうどお昼時だったので、仮設ステージの奥にあるレストランオペラ(後述)でランチを食べながら聴きました。
増山頌子(ましやま・しょうこ)さんは、大阪交響楽団で2016年から副首席奏者を務める方。とてもかわいらしい女性でした。
オーケストラ・プレイヤーの演奏を、ソロで聴く機会はあまりありませんが、隅々まで心遣いの行き届いた演奏で、好感を持ちました。
8月には大阪でソロ・リサイタルを行うそうなので、聴きに行ってみようと思いました。
【演奏会の感想】増山頌子チェロ・リサイタル 美しい織物のようにー(2019年8月 いずみホール)プーランクの歌劇「人間の声」
▼次は、この日のメインとなるオペラ公演。オペラと言っても、歌手はソプラノ1人のみ。あまり演奏される機会のないレアな作品です。
(公式サイトから引用)
15:00~15:50 大ホール
- プーランク作曲
歌劇「人間の声」
ソプラノ:石橋栄実
管弦楽:京都市交響楽団
指揮:沼尻竜典
S席2500円/A席2000円/B席1500円
そなてぃね感激度 ★★★★★
演奏会形式での上演。オーケストラはステージ上で演奏します。指揮者の横に小道具としてソファが置かれ、ソプラノが1人で演じます。
ソプラノは本当は僕が大ファンの砂川涼子さんが歌う予定でしたが、体調不良のため、代役で石橋栄実さんが舞台に立ちました。
その石橋さんが、本当に素晴らしかった!大阪音楽大学の教授とのことなので、関西では有名な方のようですが、僕は初めて聴きました。
砂川さんの降板は残念でしたが、石橋さんを知ることができたのは幸運でした。
プーランクの歌劇「人間の声」は、恋人と電話する女性の一人芝居。恋人との別れを予感する女性の、刻々と変化していく心理を表現しなければならない難役です。
めったに演奏されないレアな演目ですが、フランスの作曲家プーランクが、今年生誕120年ということで上演されました。
指揮の沼尻さんも京都市交響楽団も素晴らしかったですが、何と言っても代役を完璧に演じきった石橋栄実さんに脱帽!
びわ湖ホール声楽アンサンブル
▼再びメインロビー。休憩を兼ねて、無料コンサートを聴きました。すごい観客でしょ!
16:00~16:20 メインロビー
- ヴェルディ作曲
歌劇「椿姫」から「乾杯の歌」 - ヨハン・シュトラウス作曲
喜歌劇「こうもり」から「シャンパンの歌」ほか
演奏:びわ湖ホール声楽アンサンブル
ピアノ:植松さやか
無料
そなてぃね感激度 ★★☆☆☆
びわ湖ホール声楽アンサンブルは、厳しいオーディションで選ばれた15人。びわ湖ホール専属の歌手集団として、様々なオペラ公演に出演しています。
今回の無料コンサートでは、一人ひとりがソリストとして歌う曲も盛り込まれていました。有名なアリアも演奏され、ロビーを埋め尽くした観客は大喜び。
でも、僕としては、もっとアンサンブルの妙を楽しめる選曲にしてほしかったかな。
さあ、30分後には世界的な大物の登場です。
▼2020年1月、びわ湖ホール声楽アンサンブルによるヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」を観に行きました。素晴らしい舞台の感想はこちら。
【オペラの感想】ヨハン・シュトラウス作曲 喜歌劇「こうもり」(2020年1月 びわ湖ホール)世界的ピアニスト、リフシッツ
▼ウクライナ出身の世界的ピアニスト、コンスタンチン・リフシッツが登場です。
(公式サイトから引用)
16:50~18:10 中ホール
- バッハ作曲
ゴルトベルク変奏曲 BWV988(全曲)
ピアノ:コンスタンチン・リフシッツ
全席1500円
そなてぃね感激度 ★★★★★
リフシッツは1976年生まれの42歳。大家と言ってもいい年齢ですが、ステージに現れた彼は、はにかんだ笑顔とひょこひょこした足取りで、照れ屋の少年のようでした。
冒頭のアリア。時が止まってしまいそうなテンポと、夢のような歌いまわしで、満場の聴衆を一気に彼の世界に引き込みます。
僕は彼の演奏を初めて生で聴きましたが、CDよりも絶対にライブで聴くべき人だと思いました。振れ幅の大きな独特の表現に、完全に虜になってしまいました。
「ゴルトベルク変奏曲」はリフシッツにとって、17歳でのレコーディングがグラミー賞にノミネートされ、世界的に注目されるきっかけになった曲。
それから四半世紀の時を重ねた彼の演奏を、こうしてライブで聴くことができたのは、貴重なひとときでした。
びわ湖ホール四大テノール
▼再びメインロビーに戻って、楽しいコンサートで初日を締めくくりました。
18:30~18:50 メインロビー
- ベートーベン作曲
「第9」テノール・ソロの部分 - デンツァ作曲
「鬼のパンツ」(フニクリ・フニクラの替え歌) - ディ・カプア作曲
「オー・ソレ・ミオ」ほか
演奏:びわ湖ホール四大テノール
(竹内直紀・清水徹太郎・二塚直紀・山本康寛)
無料
そなてぃね感激度 ★★★★☆
びわ湖ホール四大テノールは、先ほど登場した「びわ湖ホール声楽アンサンブル」の出身者4人によって、2010年に結成。
輝かしい声を堪能できる名曲から、オリジナル・アレンジの作品まで、楽しいトークとともに届けてくれる大人気のグループです。
▼こちらの動画を見れば、きっとあなたもファンになるはず!
そんなわけで、初日は朝11時から夜19時近くまで、ひたすら音楽三昧の1日でした。
2日目に聴いた9つのコンサートの感想
▼2日目は朝からいい天気!湖畔でのんびり釣りを楽しむ人達を眺めながら会場に向かいます。
▼「どのコンサート聴く?」みたいな楽しげな会話が聞こえてきます。
2日目に僕が楽しんだ9つのコンサートは、次のようなラインナップです。
- 京都市ジュニアオーケストラ
- 仲道郁代ピアノ・リサイタル
- 地元中高生の吹奏楽部
- 超一流!ザクセン声楽アンサンブル
- 大阪フィルの「幻想交響曲」
- トランペットの無料コンサート
- 最高に楽しい!歌劇「電話」
- 大阪フィルのクロージングコンサート
- かがり火の「レクイエム」
ひとつずつ見ていきましょう。
京都市ジュニアオーケストラ
▼この日は、メインロビーで行われた京都市ジュニアオーケストラでスタート。
▼朝から超満員!
10:20~10:40 メインロビー
- モーツァルト作曲
歌劇「フィガロの結婚」 序曲 - アンダーソン作曲
フィドル・ファドル ほか
管弦楽:京都市ジュニアオーケストラ
指揮:広上淳一/沼尻竜典(飛び入り)
無料
そなてぃね感激度 ★★★☆☆
京都ジュニアオーケストラは2005年設立。10~22歳の選抜メンバー120名が、京都市交響楽団の楽団員の指導を受けて活動しています。
指揮者はなんと、国際的に活躍する日本を代表するマエストロ、広上淳一(ひろかみ・じゅんいち)さんです。
ジュニアオーケストラとは思えないほど演奏技術が高くて、びっくり!メンバーには京都市立芸術大学の学生も含まれているようで、一般的なジュニアオーケストラとは別物と考えた方がよさそうです。
アンコールでは、びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典(ぬまじり・りゅうすけ)さんが登場。広上さんがピアニカで演奏に参加するという、豪華過ぎる一幕が!
この演奏が本当に楽しかった! こちらの動画を、ぜひご覧ください。
仲道郁代ピアノ・リサイタル
▼続いては小ホールに移動して、人気ピアニスト仲道郁代さんのリサイタルです。
(公式サイトから引用)
11:00~11:40 小ホール
- ブラームス作曲
8つのピアノ小品 作品76
ピアノ:仲道郁代
全席1000円
そなてぃね感激度 ★★☆☆☆
仲道郁代さんは言わずとしれた超人気ピアニスト。56歳という年齢がまったく信じられないような超美魔女でもあります。
ブラームスのピアノ作品は陰りがあって大好きなのですが、仲道さんの演奏は、残念ながら僕にはあまりピンときませんでした…
湖畔広場で地元中高生の吹奏楽部
▼お昼の晴天の中、湖畔広場で地元中高生の演奏を楽しみました。
12:00~12:20 湖畔広場
演奏:立命館守山中学・高校吹奏楽部
無料
観客は階段に腰掛けて、地元の中高生をあたたかく応援しているような素敵な雰囲気。
暑くも寒くもないちょうどいい気温で、気持ちのいい時間を過ごせました。
超一流!ザクセン声楽アンサンブル
▼屋台で昼食をとって(後述)から、中ホールに移動。ドイツからやってきた超一流のザクセン声楽アンサンブルを聴きました。
(公式サイトから引用)
13:00~13:45 中ホール
- シサスク作曲
われらに平和を与えたまえ - シュッツ作曲
わたしは主を愛する SWV51 - ペルト作曲
主よ、平和を与えたまえ - シュッツ作曲
恵みもてわれらに平和を与えたまえ SWV372
われらの王に与えよ SWV373 - マウエルスベルガー作曲
なんと荒涼たる町よ - バッハ作曲
「来たれ、イエスよ、来たれ」BWV229 - タヴナー作曲
主の祈り - ニーステッド作曲
われは平和をあなた方に残し
演奏:ザクセン声楽アンサンブル
指揮:マティアス・ユング
全席1500円
そなてぃね感激度 ★★★★☆
ザクセン声楽アンサンブルは1996年に指揮者マティアス・ユングによって創設。国際的に高く評価される室内合唱団です。
音楽祭のテーマ「神よ、平和を与えたまえ」にそって選曲された、バロックから現代作品までを織り交ぜたプログラムでした。
知っている曲はまったくありませんでしたが、透き通るような声と、怖いくらいに美しいハーモニーに、心を奪われました。
ピアノ伴奏なしのアカペラで、こんなに完璧な和声を奏でられるなんて…
大阪フィルの「幻想交響曲」
▼次は大ホールに移動して、オーケストラの公演です。
(公式サイトから引用)
▼指揮は2003~2012年に大阪フィルの音楽監督を務めた大植英次(おおうえ・えいじ)さん。
(公式サイトから引用)
14:45~15:45 大ホール
- ベルリオーズ作曲
幻想交響曲
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:大植英次
S席2000円、A席1500円
そなてぃね感激度 ★☆☆☆☆
大好きな「幻想交響曲」を楽しみにしていましたが、僕はどうにもこうにも、大植英次さんが生理的にダメなようです…
あの「オレオレ」な感じのナルシスト丸出しな指揮姿を、直視できないんです…
乱暴なテンポで爆走し、表面的にはカタルシス風味だけど、すごく軽薄に感じちゃうんですよ。
もちろんこれは僕の個人的な好みの問題です。
大阪フィルは何も悪くありません。無理やりな指揮に、よく文句も言わずに従ったものだと変なところに感心しました。
トランペットの無料コンサート
▼お口直しに、レイクビューのメインロビーで、爽やかなトランペットを聴くことに。
16:00~16:20 メインロビー
- プッチーニ作曲
歌劇「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」 - シャルパンティエ作曲
テ・デウム から プレリュード ほか
トランペット:高見信行
ピアノ:中桐綾奈
無料
そなてぃね感激度 ★★☆☆☆
トランペットの高見信行さんは、大阪フィルの楽団員。
先ほどの「幻想交響曲」にも出演していたはず。あの大曲を吹いた後で、たとえ20分の短いステージとはいえ、ソロを吹くのは大変なことだろうと思います。
気持ちのいい音を響かせていましたが、さすがに疲労が残っていたのでしょう。肝心なところで音が出なかったりして、ちょっとかわいそうでした。
この後には、再び大阪フィルの出番が。彼にとっては、かなりハードな1日だったはずです。
最高に楽しい!歌劇「電話」
▼さあ、音楽祭も終わりに近づいてきました。次は僕が今回もっとも楽しんだコンサートです。
(公式サイトから引用)
17:00~17:40 小ホール
- メノッティ作曲
歌劇「電話」
ソプラノ:石橋栄実
バリトン:晴雅彦
全席1000円
そなてぃね感激度 ★★★★★
メノッティの歌劇「電話」は、本当に楽しい作品です。
登場人物は、ルーシーと恋人のベンの2人。旅に出る前に彼女にプロポーズしようとするベンですが、次から次へと電話が鳴ってルーシーはそれにかかりっきり。果たしてプロポーズは成功するのか!?
この小粋なラブコメディを演じたのが、ソプラノの石橋栄実さんとバリトンの晴雅彦(はれ・まさひこ)さん。ふたりとも芸達者で、最高に楽しいひとときに。会場は笑いが絶えませんでした。
石橋さんは、初日のプーランクの歌劇「声」で陰のある役を見事に演じましたが、ここでは打って変わってコミカルな役で観客を魅了しました。
アンコールの「猫の二重唱」も楽しかった~! たった40分の公演ですが、ほんと大満足。
(公式ツイッターから引用)
関西には素晴らしい音楽家がいるんだなぁ!と感激しました。
大阪フィルのクロージングコンサート
▼日が暮れて、いよいよ2日間のフェスのクロージングコンサート。再び世界的ピアニストのリフシッツが登場です。
(公式サイトから引用)
【クロージングコンサート】
18:15~19:15 大ホール
- ラフマニノフ作曲
ピアノ協奏曲 第3番 - ラヴェル作曲
ボレロ
ピアノ:コンスタンチン・リフシッツ
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:大植英次
S席2000円、A席1500円
そなてぃね感激度 ★★★☆☆
初日にバッハの「ゴルトベルク変奏曲」で聴衆を魅了したリフシッツが、音楽祭のラストにオーケストラをバックに大曲を披露しました。
リフシッツは、見た目はふんわりした笑顔で、ほのぼのした雰囲気なのですが、ラフマニノフの難曲をゴリゴリに弾いてて、そのギャップにも圧倒されました。
僕的にはやはり指揮者の大植英次さんが生理的に苦手すぎました… 襟を立てた黒いロングコートが珍妙すぎて気になるし、指揮姿が暑苦しくて音楽が入ってこないのです。
完全に僕の個人的な好みの問題ですが。
かがり火の「レクイエム」
▼これが本当に最後の公演。夜の湖畔にかがり火を焚いての「レクイエム」です。
#近江の春 『びわ湖音楽祭』
かがり火コンサートが終演し、平成最後の音楽祭よ幕を閉じました。詳細は後ほど。
いゃあ、忘れられないモツレクてした。泣けました。
震えてるのは寒さのせいではありません。大げさか?笑
演奏者の皆様はもっと寒かったでしょう。お疲れ様でした。 pic.twitter.com/ISPRxTYsi6— ひろち (@gustavcat3) 2019年4月28日
【かがり火コンサート】
19:30~20:30 湖畔広場
- モーツァルト作曲
レクイエム ニ短調 K.626 - ザイフリート作曲
リベラ・メ - モーツァルト作曲
アヴェ・ヴェルム・コルプス ニ長調 K.618
ソプラノ:平尾悠
アルト:益田早織
テノール:清水徹太郎
バリトン:津國直樹
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル
ザクセン声楽アンサンブル
管弦楽:ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
指揮:マティアス・ユング
全席1500円
そなてぃね感激度 ★★★☆☆
日中は暖かかった湖畔広場も、日没後はちょっと冷えてきました。椅子の上にはホッカイロが。運営の皆さんの心遣いですね。
まったく残響のない屋外。本来はよく響く教会で演奏される作品なので、演奏者にとっては難しい環境だったと思います。
でも、かがり火の幻想的な光と湖畔の雰囲気も手伝って、親密感のある演奏になりました。程よい音響でサポートしたPAさんにも拍手!
そんなわけで、全17公演を楽しんだ僕のびわ湖クラシック音楽祭は終わりました。
会場でのお食事はこちらで
会場ではお食事を楽しむこともできます。
レストランオペラ
メインロビーの一角にある「レストランオペラ」。湖畔の明るい光が注ぐ素敵なお店です。
▼ランチのフードメニュー。サンドイッチ、ビーフシチュー、和風ピラフがそれぞれ1200円(サラダ・スープ付き)です。
▼ケーキセット1200円、コース料理3300円も楽しめます。
▼最初に支払いを済ませます。
▼レストランの様子。天井が高く、空間の広がりが感じられます。
▼ガラスの向こうにはびわ湖が広がります。緑のある素敵な風景です。
▼僕が注文したのはビーフシチューのセット1200円。おいしかったですよ!
▼振り返ると、メインロビーの仮設ステージを、裏から見ることができます。ちゃんと演奏も聴こえますよ。
地元のお店が屋台を出店
▼湖畔広場のわきには、地元のお店が屋台を出店しています。
▼たくさんのお店がありますが、例えば滋賀県守山市の餃子専門店「堀久餃子本舗」。
▼京都九条ねぎをトッピングしたたこ焼き屋「咲たこ」。
▼湖畔でのんびり過ごせるのも、びわ湖クラシック音楽祭ならでは。
▼僕は堀久餃子本舗のパリパリの餃子をいただきました。おいしかった~!
びわ湖ホールの行き方・アクセス
びわ湖ホールへは、3つの駅から徒歩で行けます。
▼まず、一番近いのが京阪の石場駅。徒歩3分。
(公式サイトから引用)
▼JR膳所駅からは徒歩15分。
(公式サイトから引用)
▼JR大津駅からは徒歩20分。
(公式サイトから引用)
音楽祭の期間中は、JR大津駅から無料のシャトルバスも出ていますので、便利ですよ。
あとがき
安いお値段で気軽に楽しめるコンサートがたくさんある音楽祭の代表格は、2005年に東京国際フォーラムで始まったラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭です。
この音楽祭はクラシック音楽のイベントとしては異例の動員数をほこり、10年以上が経った今も、有楽町界隈は大変な賑わいを見せます。
今回、びわ湖クラシック音楽祭を、2日間どっぷりと楽しんで感じたのは、「東京にはない魅力がある」ということでした。
湖畔ののんびりした風景の中で、会場の規模もちょうどよく、人混みで疲れてしまうこともありません。
関西の演奏家を中心に、クオリティも高い公演が並んでいますし、地元の吹奏楽部やジュニアオーケストラに出演のチャンスが与えられているのも素晴らしいと思います。
大型連休にゆっくりと音楽を楽しみたいなら、ぜひおすすめしたい音楽祭です。僕は来年も必ず行こうと思います!
▼2020年1月に行われたヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」の感想はこちら。
【オペラの感想】ヨハン・シュトラウス作曲 喜歌劇「こうもり」(2020年1月 びわ湖ホール)▼2020年1月に行われた山海塾「ARC 薄明・薄暮」の感想はこちら。
【ダンスの感想】山海塾「ARC 薄明・薄暮」永遠にめぐる円環(2020年1月 びわ湖ホール)▼2020年3月に行われた『神々の黄昏』の感想はこちら。新型コロナウイルスの影響で、無観客でのライブ配信という形で開催されました。
【演奏会の感想】びわ湖ホール『神々の黄昏』(2020年3月 無観客でのライブ配信)