こんにちは。そなてぃねです。
2019年のラ・フォル・ジュルネで、素晴らしいバイオリニストに出会いました。
梁美沙(ヤン・ミサ)さん。大阪生まれの32歳。高校を卒業後、パリに留学し、そのままヨーロッパを拠点に活動してきた人で、僕はその存在を知りませんでした。
数年前からラ・フォル・ジュルネに招待されるようになり、気になっていましたが、今回初めて実演に触れて…
もう完全に虜になってしまいました!
演奏会の概要
【梁美沙 バイオリン・リサイタル】
- ブラームス作曲
バイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 作品100 - モーツァルト作曲
「泉のほとりで」の主題による6つの変奏曲 ト短調 K.360 - ドボルザーク作曲
バイオリンとピアノのためのソナチネ 作品100
バイオリン:梁美沙(ヤン・ミサ)
ピアノ:ジョナス・ヴィトー
2019年5月5日(日)15:15~16:00
東京国際フォーラム G409
ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2019
そなてぃね感激度 ★★★★☆
バイオリニスト 梁美沙(ヤン・ミサ)
バイオリニスト 梁美沙さんのプロフィールを、当日配られたプログラムから引用します。
梁美沙(ヤン・ミサ)
大阪生まれ。パリ国立音楽院でシャルリエ、カントロフに師事。2000年、若い音楽家のためのメニューイン国際コンクール第1位。2009年、室内楽奏者としてマリア・カナルス国際コンクールで優勝を果たす。2004年、アルデオ弦楽四重奏団の一員としてエコー・ライジング・スターに選出された。
(Musicaglotzから引用)
中学時代に国際コンクールで優勝
ウィキペディアによると、彼女は1987年3月生まれの32歳(2019年5月現在)。
メニューイン国際コンクールで優勝したのは、なんと13歳のときだったんですね。
ふと思い出したのですが、そのころNHK-FMの「名曲リサイタル」という番組があり、優勝直後の彼女が出演していました。
まだ中学生で、お名前も印象的だったので、記憶に残っていました。さすがに、演奏やトークの中身までは覚えていませんが…
神尾真由子、木嶋真優と同門?
関西出身の32歳… ということで、興味深いことに気付きました。
大阪出身の神尾真由子さん(チャイコフスキー国際コンクール優勝)と、神戸出身の木嶋真優さん(ケルン国際音楽コンクール優勝)は、梁美沙さんとちょうど同世代で、しかも3人とも名教師・小栗まち絵さんのお弟子さんなのです。
もしかしたら、お互いに知っている仲かもしれません。とてつもない才能を持った3人が、同時期に関西から生まれていたんですね。
高校卒業後からパリに留学
13歳にして国際コンクールで優勝した梁美沙さんですが、高校卒業後から現在に至るまで、ずっとヨーロッパ暮らしのようで、日本ではあまり名前を知られてはいません。
数年前から、ラ・フォル・ジュルネ(5月に東京国際フォーラムで行われるクラシック音楽の大イベント)に招かれているようですが、それ以外には、日本での演奏活動はしていないのではないでしょうか。
だから、今回ライブを聴くことができ、本当に幸運でした。
梁美沙(ヤン・ミサ)さんの魅力
東京国際フォーラムのG409は、コンサートホールではなく、ただの会議室です。
残響はゼロ。完全にデッドな空間なので、演奏家の腕があらわになってしまうシビアな条件と言えます。
そんな環境の中、手を伸ばせば届きそうな至近距離で演奏を聴くことができました。
しなやかに飛翔する音楽
彼女の印象を一言で表現するとしたら「しなやかさ」でしょうか。
天空を羽ばたく自由な感性。それを、しなやかに舞う体が、音に昇華して解き放っていく。
気持ちのいい風が、心の中を吹き抜けていくような時間でした。
こんな才能がいたなんて。
骨太で豪快な神尾真由子とも、没入型で直情的な木嶋真優とも、まったく違う個性。
梁美沙さんの音楽に、僕は完全に魅了されてしまいました。
身のこなしが音楽を体現
演奏する姿も印象的でした。
直径1メートルくらいの範囲を、スッ… スッ… とよく動くのです。
身を縮めたかと思うと、次の瞬間には天を仰ぐように伸び上がったり。
一つひとつの身のこなしが実に自然で、現代舞踊のように音楽と一体になっていました。
フランス・ナントでのライブ音源
2019年1~2月に、フランスのナントで行われたラ・フォル・ジュルネでも、梁美沙さんは同じプログラムを演奏しています。
その音源を「france musique」というサイトで聴くことができます。もちろんライブの方が断然いいのですが、録音からも彼女の特徴を感じ取れます。ぜひ聴いてみてください。
梁美沙(ヤン・ミサ)さんのディスク
ヨーロッパでの活躍ぶりを示すように、2014年以降、相次いでCDが出されています。
フランスのMIRARE(ラ・フォル・ジュルネの生みの親、ルネ・マルタンのレーベル)からリリースされたものを、ご紹介します。
いずれもCDだけでなく、Amazonでのストリーミング配信で聴くことができます。
▼2014年にリリースされた、ベートーベンとシューマンのピアノ三重奏曲。
▼2017年にリリースされた、ブラームスとドボルザークのピアノ三重奏曲。
▼2019年4月にリリースされた、モーツァルトのバイオリン・ソナタ。ピアノは今回の演奏会でも共演していたジョナス・ヴィトー。
あとがき
それまで知らなかった魅力的なアーティストに、ライブで出会える喜びは、何にも代えがたいものです。
会議室のまったく響かない空間だったからこそ、彼女の弓から生み出される音の質感が、克明に耳に刻まれました。
あらゆるコンテンツをスマホで視聴できる時代ですが、やはりライブにはかなわない!
梁美沙さんの出会いは、近年もっとも幸せな発見のひとつでした。