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【書評・本の感想】まっち~著『夫からのモラル・ハラスメント』パートナーとの生活に苦しみを感じたら読むべき名著

まっち~著「夫からのモラル・ハラスメント」

こんにちは。えいぷりおです。

衝撃的な本でした。夫からのモラル・ハラスメント ~愛する人からの精神的イジメ 苦しいのはあなた一人じゃない~という本です。

夫からの激しいモラハラに8年間も耐え、心身ともにボロボロになりながら、最終的に離婚を勝ち取ったひとりの女性の告白。

モラハラは特別な出来事ではありません。多くの夫婦にモラハラが潜んでいる可能性があると僕は思っています。

僕自身、モラハラの加害者として妻を傷つけてしまった過去があります。そしてその後、妻からモラハラを受けた被害者としての経験もあります(今も継続している)。

この記事では、僕自身の経験も交えながら、この本の重要性をお伝えしたいと思います。

モラル・ハラスメントとは

最初にモラル・ハラスメントという言葉の意味について触れておきます。

コトバンクの説明が最も簡潔で分かりやすいので、引用します。

【モラル・ハラスメント】

暴力は振るわず、言葉や態度で嫌がらせをし、いじめること。精神的暴力。精神的虐待。モラハラ。

【関連記事】 モラハラ妻の特徴と対処法はこちら。

あなたの奥さんはモラハラ妻? 8つの特徴と対処法まとめ(僕の体験を交えて)

著者まっち~さんについて

著者まっち~さんについて、本の最後に掲載されている経歴から引用します。

【まっち~】

モラルハラスメント・ブログ』管理人。モラル・ハラスメントを繰り返す夫と離婚し、その後、再婚。ブログの更新は現在はストップしているが、モラハラを克服した経験を生かし、現在ではメールや電話で、同じようにモラハラに苦しむ人の悩みを聞き、相談にのっている。

本の原作となったブログには、プロフィールとして次のように書かれています。

40歳を前にして、8年間の結婚生活に終止符を打ち、離婚致しました。理由は夫のモラハラ&DVです。驚くことにその後子連れ再婚。

『夫からのモラル・ハラスメント』の内容

『夫からのモラル・ハラスメント』の最大の特徴は、モラハラの被害者が自らの経験に基づいて書いている点です。

夫婦間の具体的なエピソードの数々には、カウンセラーや精神科医には書けないリアリティがあります。

『夫からのモラル・ハラスメント ~愛する人からの精神的イジメ 苦しいのはあなた一人じゃない~』

 

著者 まっち~
出版 河出書房新社 (2014年4月)
えいぷりお感激度 ★★★★★(星5つ)

 

夫からの精神的イジメ“モラル・ハラスメント”を克明に記録したブログを書籍化。モラハラと気づいてから離婚するまでの闘いや、つらい気持ちを乗り越え、自分を愛する心を掴むまでを赤裸々につづった衝撃の一冊。心理カウンセラーによるコラム、「完全脱出マニュアル」も収録。(Amazonの商品説明から引用)

目次を見れば、具体的なエピソードが数多く織り交ぜられていることが分かると思います。

【目次】

モラル・ハラスメントとは?
モラル・ハラスメントという言葉に出会ったばかりのあなたへ

〈第1章〉 この苦しみは何だろう……?
・冬の深夜、私はマヨネーズを買いに走った
・「怒りのカウントダウン」と「日替わり地雷」
・俺様ルール
・パパすごいやろ!
・お前が奴隷にならなければ、俺は王様になれないんやぞ!
・女が生まれたら、保健所に連れて行くからな
・離婚話
・「なぜなぜなぜなぜ」が心の中で鳴り響く
・堂々巡りのスパイラル
・感情なんて、ない方が楽
・壊れていく心
・最後のお願い
・まっち~さん、変ですよ

〈第2章〉 夫はモラル・ハラスメントなんだ!
・ライオンと檻の中
・「どうしてそこまで」追い詰められたのか?
・なぜ、夫はモラ夫に成長したのか?
・脱出決意! そして行動開始!
・私はなぜ、モラハラの被害者になったのか?
・最後の家族旅行
・離婚届
・俺、これからお前のこと、いじめるのやめるわ
・「とりあえず」が招いた結末
・決断できない私
・モラ夫がDV夫になった!
・許してくれるんか、お前……。許せるわけないじゃん、ヴォケ!

〈第3章〉 脱出・モラ夫の攻撃・葛藤
・幸せの白いふとん
・戦いの序章
・私がおかしいのか?
・爆弾おにぎり
・モラ夫は治らない!
・夫の土下座と娘の涙
・善意のアドバイスに傷つく被害者
・じゃあ、今から一家心中しようか?
・立ち上がれ、私!
・善意のバトン

〈第4章〉 離婚。そして再生
・私は、私のままでいていい
・「ひとりで立つ」ということ
・よおく考えろ、自分。思い出せ、自分。
・離婚の向こうの輝く世界
・夫の猿芝居に惑わされる調停委員
・ついに離婚承諾はしたものの……
・失ったものを数えるより、得たものを数えてみよう
・モラ夫が子どもたちに与えた影響
・モラの連鎖を断ち切る!
・離婚届を手にした私。なぜ嬉しくないの?
・桜の木の下で
・性格の些細な不一致!?―夫に罪の意識なし
・あなたは悪くない
・自分いじめをする人には、相手をいじめる人が寄ってくる
・自分を愛する。自分を尊ぶ。

この目次を見て、何かひとつでもピンとくるものがあったなら、すぐに読んでみることを強くおすすめします。かならず大きなヒントが見つかると思います。

モラハラ加害者は「自分で責任を負えない人」

この本では、モラハラ加害者の性質を自分で責任を負えない人としています。これは言い得て妙だと思います。

自分で責任を負うことができないとは、つまりうまくいかないことは、すべて人のせいにするということ。

責任ある大人ならば、何か問題が起こったときには、自分の関わりについて考え、適切な対応をしようとするでしょう。

でも、自分で責任を負えない人は、何か問題が起きると、真っ先に相手を攻撃します。そして同時に、自分には一切の責任がないことを、あらゆる手段を使って主張します。

たしかにこれはモラハラの本質だと思います。

モラハラ加害者の生育環境

著者の夫は、自分の責任は「ゼロ」、相手の責任は「100」と考える重症のモラ夫(モラハラを行う夫)です。

でも、この夫は特別な存在ではありません。程度の差こそあれ、モラ夫的な面を持つ人は身近にいるのではないでしょうか。

職場ではまともに見えるのに、家庭ではモラ夫に豹変するケースもあるでしょう。僕自身はこのパターンだったように思います。

家庭における責任ある振る舞いや、パートナーを尊重する気持ちは、家庭の中で育まれるものです。

僕は、過保護・過干渉な母親に甘やかされ、家庭で果たすべき責任を知らずに育ちました。コミュニケーションが下手な父親からは、パートナーシップの本質について学ぶことはできませんでした。

子供のころに健全な家庭の姿を学べていないと、大人になってからうまく家庭を築けないということを、僕は実感しています。

では、著者の夫(以下、モラ夫)は、どのような家庭で育ったのでしょうか。

モラ夫の父親は、妻をいつも虐げている筋金入りのモラハラ男。そして母親は、夫からのイジメを受け入れるだけが存在意義のような人だったといいます。

モラ夫は、両親の関係を見ながら育ったことで弱い者は虐げていい存在と信じるようになったのでしょう。

また、どんなにワガママを言っても両親に叱られることはなかったため、家は自分が王様でいられる場所と誤認するようになっていったのです。

モラハラ被害者にも原因がある

この本のフェアなところは、著者自身にもモラハラを受け続けてしまった原因があったと書いている点です。

母親から愛してもらえず、自分には生きる価値がないと思い込んで育った著者。

自分さえ我慢すれば愛してもらえるかも…と考え、自分自身の気持ちにフタをして生きる道を選んできました。

モラ夫は、そんな著者の弱さを敏感に嗅ぎつけて、そこにつけ込み、徹底的にイジメて支配下に置いたのでした。

僕にも物心ついたころから自分には価値がないという思いがありました。何をやっても自分の中が空っぽに感じました。

自分の中が空っぽだと、モラハラ行為をされてもすべて自分が悪いと思い込み、ますます深みにハマっていきます。

この本を読んでいて、僕は自分の中に、モラハラ加害者の面と、モラハラ被害者の面の、両方が存在することに気付きました。

具体的な描写が参考になる

この本は、カウンセラーや精神科医といった専門家が書いたものではなく、モラハラ被害者自身が書いていることが最大の特徴です。

冒頭に、夫に脅されて深夜にマヨネーズを買いに走るエピソードが書かれています。胃がせり上がってくるような恐怖心など、本人にしか語れないリアリティがあり、胸が締め付けられました。

モラ夫から日々ぶつけられた暴言の数々は、戦慄を覚えるものばかりでした。

こうした具体的な描写は、同じ境遇にいる人にとって、とても参考になると思います。

モラハラ被害者は、自分が置かれている過酷な状況を客観視できないので、この本の描写を読むことであ!私も同じかも…!と気付くことができるかもしれません。

モラ夫から逃げる方法も具体的

この本は、モラハラ被害の過酷さを書いているだけではありません。

逃げる方法が書かれているのです。

幼い子供を連れてモラ夫から逃げたエピソードは非常に具体的で、一種のノウハウ本とも言えそうです。

離婚調停の長い道のり、離婚した後の生活、公的な支援など、「逃げた後」のアドバイスもしっかり書かれています。

モラハラ被害の真っ只中にいる人達を救い出したい!

この本は、著者のそんな思いが込められた「実用書」でもあるのです。

モラ夫には自覚がない

著者は8年間の結婚生活を離婚という形で終わらせ、新しい人生を歩みだしました。

ですが、ずっと離婚を拒否し続けた元モラ夫は、最後の最後まで最低な言動を続けました。

そもそも、自分がモラハラをしていたという自覚がまったくないのです。

調停の間も、モラ夫の主張はこうでした。

「妻は精神的に不安定なところがあり、被害妄想的。モラハラというのは、妻の受け取り方の問題」

ひどい言い分ですよね… 自分の非は認めず、すべて妻に責任転嫁しているのです。

でも僕には、彼を断罪することができません。なぜなら、僕自身もモラ夫であり、その事実を受け入れる難しさを身をもって知っているからです。

僕もモラ夫だった…

僕は、この本の夫のように、妻を無視したり、大声で怒鳴ったり、脅したり、奴隷のように扱ったり… といった分かりやすいモラハラはしていません。

表面的には、妻をいつも気遣い、妻の意見を聞き、家事も育児も一緒にやっていました。

ですが、本当は違うのです。

妻を気遣っているように見せて、本当は妻を自分より下の存在と考えていました。

妻の意見を聞いているように見せて、本当は何もかも妻に責任を負わせていました。

家事を一緒にやっているように見せて、夫として、父親として、本当の意味で責任ある行動はしていませんでした。

育児を一緒にやっているように見せて、厳しいしつけはせず、楽しい面でしか子供と関わっていませんでした。

一方、責任感の強い妻は、僕からすべての責任を押し付けられて疲弊し、心身ともに弱っていきました。

分かりやすいモラハラではなく、真綿で締め付けていくようなモラハラを、僕は妻にやっていたのだと思います。

モラ夫が子供に与える影響

この本は、モラ夫が子供に与える影響についても、体験に基づいて書かれています。

息子は、幼稚園の友達を力でねじ伏せようとしたり、自分が悪いことをしても謝ることができなかったりと、父親そっくりの行動を見せたといいます。

モラ夫が残した影響に愕然としながらも、著者は必死に子供たちと向き合って正しい生き方を教えようとします

そんな著者の生き方に、僕は感銘を受けました。

モラハラ被害者へのメッセージ

著者はモラハラ被害で苦しむ人に、あるメッセージを伝えようとしています。それは、

自分を愛して!

ということ。モラハラ被害者の多くは、もともと自分を愛せない人が多い。誰かから愛されたくて、自分の境界線を壊してしまい、モラハラ加害者の侵入を許してしまう。

だから、モラハラから自分を守るには、何よりもまず自分を大切にすることなのです。

えいぷりお的まとめ

僕は無自覚なまま、妻にモラハラをしてきました。真綿で締め付けるような、表面化しにくいやり方だったので、妻は知らず知らずのうちに心身の調子を崩していきました。

数年前から妻は僕のモラハラを疑うようになり、「あなたは発達障害人格障害ではないか」と言いはじめました。

それからは立場が逆転し、妻は僕の人格を徹底的に攻撃するようになり、何をやっても全否定するようになりました。今度は僕がモラハラを受ける立場になったのです。

だから僕は『夫からのモラル・ハラスメント』を読んで、モラハラ加害者とモラハラ被害者、両方の立場で色々と考えさせられました。

程度の差、立場の違いはあっても、すべての夫婦に何らかの問題や課題はあるはずです。この本は、パートナーシップについて様々な示唆を与えてくれると思います。

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