僕の妻は、2人目の子供を出産する際に「無痛分娩」を選択しました。体力のあまりない妻が、少しでも出産時の消耗を軽減できればと考えてのことでした。
しかし、無痛分娩はうまくいかず、お産がより苦しくなったばかりか、重い副作用に数か月間も悩まされることになりました。
僕は、危険性をよく調べもせずに無痛分娩を選択してしまったことを、今でも後悔しています。妻を守ることができませんでした。
ですから、僕はある種の使命感をもって、一連の無痛分娩に関する記事を書いてきました。リスクがあることを知ってほしい。特に、これからお産を迎える奥さんを持つご主人に読んでいただきたいと考えています。奥さんを守ってあげてほしいのです。
無痛分娩のメリットを享受している女性も多くいることでしょう。また、心臓や肺に疾患を抱えている妊婦さんの中には、医師の判断で無痛分娩を行うケースもあるでしょう。
そういった面に関しては、多くのサイトに情報があると思いますので、僕はあえてネガティブな面に焦点を当てて書いてきました。
無痛分娩とは(体験談も)
まず、僕の妻のケースを詳述した最初の記事。硬膜外麻酔がうまくいかず、硬膜穿孔による脳脊髄液減少症の後遺症に苦しみました。この記事は、多くの方の目にとまったようで、僕の零細サイトの中でも、最も閲覧数の多い記事となっています。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2016/04/59cd8acd530ad0523e4bfa016278687d.jpg)
ネット上に残されている無痛分娩に関する体験談をまとめた記事です。うまくいったケースから、死亡事故のケースまでを挙げています。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2016/07/59cd8acd530ad0523e4bfa016278687d.jpg)
「コウノドリ」に描かれた無痛分娩
医療現場の人間模様を描いた漫画「コウノドリ」にも、無痛分娩に関する1話があります。産科の抱える課題も見えてくるもので、ぜひ読んでいただきたい作品です。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/04/93ce2e14e55f1b382e88db3c5fc137b5.jpg)
その「コウノドリ」の無痛分娩のエピソードが、2017年10月にドラマ第2シリーズの第3話として放送されました。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/10/30bf2ce0f1fde5443ddf6a4d4aec71ef.jpg)
相次いで報道された無痛分娩による医療事故
2017年4月以降、無痛分娩にからむ事故が相次いで報道されました。時系列で整理しておきます。
まず、2011年4月に京都の産院で起こった医療過誤訴訟。赤ちゃんが脳に重大な障害を持って生まれ、その後3歳で亡くなったという痛ましい事故でした。事故の原因のひとつとして「陣痛促進剤」の過剰投与が示唆されています。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/06/bfc509bb579046c005495e0119facaa3.jpg)
次に、2012年11月に京都の同じ病院で起こった訴訟。母子ともに意思疎通のできない重大な障害を負いました。原因の可能性として「局所麻酔薬中毒」が挙げられました。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/06/8d2c3ac016ece33a75b7d7ebee1390f2.jpg)
2015年2月には、特定機能病院に指定されている順天堂大順天堂病院でも事故が起こりました。2014年から24時間体制で専門の麻酔科医がバックアップする体制を導入していましたが、死産および子宮全摘出という痛ましい事故となり、裁判となっています。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/09/d766b1443775cece86d31b573ecf8cf9.jpg)
2015年8月には、神戸の病院で、36歳の母親が陣痛促進剤の過剰投与と思われる子宮からの大量出血などで亡くなる事故がありました。異変が起こった後の病院側の対応にも問題があり、刑事告訴されました。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/06/b8f68ae4a73bdbcb9a7626f81cfdf89b.jpg)
2015年9月に、同じく神戸の別の病院で起こった事故。硬膜外麻酔の手技とその後の管理に、明らかに杜撰な点が見られ、母親が死亡、赤ちゃんも脳に重い障害を負いました。。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/07/746b868f1a7b5f26394ee858810c3477.png)
さらに、2016年5月にも京都の同じ病院で医療事故が起こっています。この事故でも、母子ともに意思疎通のできない重大な障害を負いました。原因として「全脊髄麻酔状態」が考えられています。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/06/50055a8d353e4b608d07ca8081a450e0.jpg)
2017年1月には、大阪の産院で、31歳の母親が出産中に呼吸不全に陥って意識不明となり、その後亡くなるという死亡事故が起こりました。僕の勝手な推測で、麻酔薬によるアレルギー反応(アナフィラキシーショック)について検証してみました。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/04/524124ee26bcd8236a4a9d89cf4db6a2.jpg)
無痛分娩に関する調査報告
2017年4月17日の新聞記事に、無痛分娩が妊産婦の死亡率を上昇させるとのショッキングな記事が掲載されました。この記事の内容について検証してみました。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/04/2c768577479986cbf73d7519fe1cfec5.jpg)
これらの事故(2017年4月~6月に相次いで報道された)を受けて、日本産婦人科医会が全国の産婦人科に対して実態調査を行うことになりました。今後の安全性向上に生かされるよう、強く希望します。
![](https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_webp,q_glossy,ret_img,w_160,h_160/https://eiji-maru.com/wp-content/uploads/2017/06/8b3b19106200e4e711c6226d0a9d4592.jpg)
無痛分娩は慎重に選択してほしい
ネット上の多くのサイトでは、無痛分娩を推奨しています。僕も「痛みに耐えてこその出産」とは思いません。
ただ、日本ではまだまだ麻酔の専門医が常駐している産科医が少なく、経験も蓄積されていないため、硬膜外麻酔にからむ事故は、一定の確率で起こるものだと考える必要があると思います。
今回、様々な体験談を調べる中で、硬膜穿孔による脳脊髄液減少症が原因と思われる頭痛の報告が予想以上に多く見られました。
無痛分娩にはリスクがある。無痛分娩を検討している皆さんんは、この事実を受け入れた上で、慎重な選択をしていただきたいと思います。