【麻疹(はしか)ワクチン】なぜ1回のみの接種では効果がないのか

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2016年8月以降、関西空港から感染が拡大している麻疹(はしか)。感染者の多くは20~30代であることが分かっています。彼らは麻疹ワクチンを1回しか受けていない世代。なぜ1回のみのワクチン接種は効果がなかったのでしょうか。

何度もウイルスが侵入することで抗体価は上がる

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※麻疹についての基本的な知識は、こちらをご覧ください。
※麻疹ワクチンの歴史と年代別の感染リスクについては、こちら
※子供の病気については、こちらにまとめています。

1978年4月に麻疹ワクチンの定期接種が始まるまで、麻疹(はしか)は誰もがかかる一般的な病気でした。麻疹ウイルスは空気感染するという特徴があり、異次元とも言えるすさまじい感染力を持つため、1977年4月1日以前に生まれた世代は、ほぼ100%が子供時代に感染していると考えられています。

この世代は、最初に感染した際に麻疹に対する抗体を獲得しています。そして、さらにその後、何度も麻疹ウイルスにさらされていますが、抗体のはたらきによって、2回目以降に体内に侵入してきた麻疹ウイルスはすぐに排除され、二度と感染することはありません。

ここで重要なのは、このように何度も麻疹ウイルスの侵入にさらされることで、麻疹に対する抗体は強度を増していくということです。抗体はウイルスの侵入を受けるたびに、次なる侵入に備えて「防御態勢」をより確固としたものにしていきます。抗体の強さを「抗体価」と呼びますが、抗体価は何度もウイルスが体内に侵入してくることによって上昇していくのです。

1990年代以降、麻疹の罹患者が激減

1978年からの麻疹ワクチンの接種が功を奏して、1990年代以降、麻疹の罹患者は激減していきました。このこと自体は評価されるべきことなのですが、それまで頻繁に体内に侵入してきた麻疹ウイルスがやってこなくなったのです。

麻疹ウイルスにさらされる機会が減ると、抗体を持っている人も、その抗体価が次第に減少していきます。

特に、1977年4月2日~1990年4月1日に生まれた世代は、麻疹ワクチンを1歳時に1回しか受けていません。かつては1回のワクチン接種が生涯有効とされていましたが、それが正しくないことが、その後明らかになりました。1回のみの接種で十分な抗体価が得られていないのに加えて、その後ウイルスにさらされる機会にも恵まれず、この世代には、ウイルスを排除できないレベルにまで抗体価が低下している人が多くいると推測されます。

2016年現在、26~39歳にあたるこの世代が、2016年夏の麻疹流行で、もっとも多くの感染者を出してしまったのは、こうした事情があったためです。

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2回接種した世代も安全ではない

1990年4月2日以降に生まれた世代、つまり2016年現在26歳以下の世代は、麻疹ワクチンを2回接種してます。

1歳時に1回目の接種を行い、抗体価が下がり始めた小学校就学前に2回目の接種を行うことで、抗体価をブーストする(押し上げる)効果が期待されています。

ところが、この世代にも抗体が定着していない人が一定割合いることが分かっています。ここでも、生活の中で麻疹ウイルスにさらされる機会が減っていることが影響しているのかもしれません。

抗体価検査と必要に応じた追加のワクチン接種を

自分に麻疹に対する抗体があるのかどうかは、抗体価検査を行うことで分かります。検査は基本的には自費になり、4000~5000円ほどかかります。

抗体価が十分でないことが分かったときには、追加のワクチン接種を行うことが推奨されます。こうした接種も基本的には自費で、4000~5000円ほどかかります。

2016年夏の流行で感染源になったのは空港でした。海外からウイルスが持ち込まれる危険のある空港では、職員が感染を拡大させることがないよう、すべてのスタッフに対して抗体価の検査と必要に応じた追加のワクチン接種を行うことが求められるでしょう。

さらに今回の流行では、大阪市立大学医学部付属病院の医師も麻疹に感染。医療関係者自身が院内感染の媒介者になってしまった可能性が指摘されています。空港の職員もさることながら、医療関係者はさらに徹底した対策がなされるべきだと思います。

「子供の病気」に関する記事について

子供は様々な病気にかかります。当サイトでは、保育園や学校でもらってくる感染症やアレルギー性疾患など、それぞれの症状や治療法をご紹介しています。

〔子供がよくかかる感染症〕
子供がかかる典型的な感染症を列記します。詳しくは、それぞれの病名をクリックしてください。

インフルエンザ
高熱、寒気、頭痛・関節痛・筋肉痛など全身症状が現れます。11~3月ごろ流行します。
※タミフルやリレンザなどのインフルエンザ治療薬によって、飛び降りなどの異常行動が起こる事例が報告されています。

インフルエンザ脳症
インフルエンザの合併症。痙攣、意識障害、異常行動などを起こし、30%が死亡、25%に後遺症が残ります。
※具体的な事例をこちらにまとめました。

マイコプラズマ肺炎
発熱としつこく長引く咳が特徴。2016年秋の患者数が過去最高と報じられました。

川崎病
4歳以下の子供に多く発症する原因不明の病気。全身の血管に炎症が起こり、心筋梗塞のリスクを高める重篤な後遺症を残す危険性があります。近年増加の傾向があり注意が必要です。次の5つの記事からなります。
【川崎病1】急増する原因不明の難病、その症状と診断
【川崎病2】急性期の治療法「免疫グロブリン大量療法」
【川崎病3】後遺症に苦しむ子供たち・・・NHKの報道から
【川崎病4】後遺症の冠動脈瘤は、どのように形成されるのか
【川崎病5】冠動脈瘤をケアし、心筋梗塞を予防する

溶連菌感染症
喉のはれ、発熱などつらい症状を起こしますが、検査によって正確な診断が可能で、特効薬もあります。

水疱瘡
全身の発疹が特徴です。発疹は水ぶくれになり、かゆみを伴い、熱も出ます。

おたふく風邪
正式名称は「流行性耳下腺炎」。耳の下が腫れあがる症状が特徴です。

麻疹(ましん)=はしか
高熱と咳、鼻水、結膜炎、そして全身に発疹が現れる比較的重い感染症です。空気感染による非常に高い感染力が特徴です。
※年代別のワクチン接種状況と感染リスクについてはこちらを。
※1回のみのワクチン接種では効果がない理由はこちらを。

風疹
顔から全身に広がる発疹、発熱、耳の後ろあたりのリンパ節の腫れなどの症状を表すウイルス性疾患です。

先天性風疹症候群
妊婦が風疹にかかることによって、お腹の中の胎児にも風疹ウイルスが感染。その結果、生まれてくる赤ちゃんに引き起こされる白内障や心奇形、難聴といった障害のことを指します。

ウイルス性髄膜炎
発熱、頭痛、嘔吐が主な症状です。手足口病やヘルパンギーナ、おたふく風邪などの合併症として発症します。

〔夏の三大感染症〕
夏の乳幼児に流行する典型的な3つの病気があります。

手足口病
手と足と口の中にポツポツとした水疱性の発疹ができるのが特徴です。

ヘルパンギーナ
39℃を超える急な発熱と、喉の奥にできる水疱が特徴です。

咽頭結膜熱=プール熱
39℃を超える急な発熱と、痛みを伴う喉の症状(咽頭炎)と目の症状(結膜炎)が特徴です。

〔子供の貧血〕
「鉄欠乏性貧血」は、鉄分の不足によって起こる貧血です。成人女性によく見られる症状ですが、実は子供にも発症します。

乳幼児の鉄欠乏性貧血
乳幼児の鉄欠乏は発育に大きな影響を及ぼす危険性があると言われています。妊娠中の母親の鉄欠乏が、おなかの中の胎児の鉄欠乏の原因にもなるので、お子さんを授かったら、ママ自身のケアが重要になります。

思春期の鉄欠乏性貧血
思春期によく見られる「顔色が悪い」「疲れやすい」「注意力や集中力の低下」といった問題は、鉄欠乏が原因かもしれません。特に思春期の女性は、その約10%が治療が必要なレベルの鉄欠乏性貧血と言われています。

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