【川崎病2】急性期の治療法「免疫グロブリン大量療法」

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4歳以下の幼児がかかりやすい原因不明の病気「川崎病」。迅速にに治療しなければ、心臓に後遺症を残してしまいます。急性期の激しい症状を、いかに早く乗り切るか。その治療法をご紹介します。

川崎病とは

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このサイトでは川崎病について、5つの記事にまとめています。

【川崎病1】急増する原因不明の難病、その症状と診断
【川崎病2】急性期の治療法「免疫グロブリン大量療法」
【川崎病3】後遺症に苦しむ子供たち・・・NHKの報道から
【川崎病4】後遺症の冠動脈瘤は、どのように形成されるのか
【川崎病5】冠動脈瘤をケアし、心筋梗塞を予防する

この記事は2本目にあたります。川崎病についての基礎的な症状や診断方法については、1本目の記事を参考にしてください。今回は、急性期の治療法について詳しく解説します。

発熱が長引くと後遺症のリスクが高まる

急性期の代表的な症状のひとつである38~39℃以上の発熱が2週間以上続くと、冠動脈瘤の後遺症が発生するリスクが高まると言われています。

いかに急性期の激しい症状を迅速に治療するか。そのための有力な治療法が「免疫グロブリン大量療法」です。

「免疫グロブリン」とは

免疫グロブリン(Immunoglobulin、略称Ig)とは、外敵から身体を守る免疫反応において重要な役割を果たしている物質で、血液中や組織液中に存在しています。「抗体」と呼ばれるものの本体です。

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免疫グロブリンは、Y字型をした糖タンパク分子です。IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があり、それぞれ分子の大きさ、働く場所や時期に違いがあります。

5種類の中でIgG(免疫グロブリンG)は、人の体内に存在する免疫グロブリンの70-75%を占め、血漿中に最も多い抗体です。これを大量に投与する治療法が、「免疫グロブリン大量療法」です。

「免疫グロブリン大量療法」とは

「免疫グロブリン大量療法(IVIG)」、あるいは「免疫グロブリン大量点滴静注療法」と呼ばれる治療法です。

「大量」という名称の通り、投与される製剤には1000人を超える献血者の血漿から抽出された多価IgG(免疫グロブリンG)が含まれています。これを静脈から点滴します。

大量の免疫グロブリンを投与することで、体内でどのような反応が起こっているのかは、実は分かっていません。何らかの機序によって、体内の免疫反応を抑制されると考えられています。

免疫反応を抑制?・・・ちょっと疑問に感じるかもしれませんよね。

川崎病というのは、ウイルスや細菌に感染したのをきっかけにそれを防ごうとする免疫反応が過剰に起こってしまった結果として、全身の中小の血管に炎症が生じるのではないかと考えられています(自己免疫疾患と呼ばれる)。ですので、治療の方向としては、過剰に起こっている免疫反応を抑制することを目指すわけです。

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免疫グロブリン大量療法の進め方

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免疫グロブリン大量療法は、川崎病の発症が確認されてから、5日連続で静脈に点滴を打ち続けます。これがワンサイクルとなります。

副作用として投与開始時にショック症状がみられることがあるので、治療は入院して行われます。ワンサイクルの免疫グロブリン大量療法を行うことで、約80%の患者は解熱します。すごい効果ですよね。この治療によって急性期の症状を速やかに脱することができれば、冠動脈瘤のリスクを低く抑えることができます。

ですが、残りの20%の患者は、発熱が続いたり、一旦解熱しても再発熱したりする場合があります。その場合、追加の免疫グロブリン大量療法が行われます。そうすることにより、さらに約半数以上の患者が解熱し、急性期を脱します。

免疫グロブリン大量療法が効かない場合

しかし、追加の治療をもってしても、一定割合の患者は解熱せず激しい症状が続くことになります。そうした患者に対しては、ステロイド、シクロスポリン、インフリキシマブ、血漿交換療法といった別の治療が行われます。発熱が2週間以上続くと冠動脈瘤が出現する可能性が高くなってしまうので、できるだけはやく解熱するよう、こうした追加の治療が行われます。

川崎病の炎症反応の程度は、軽度のものから重症まで、個人差があります。診断時の炎症反応が非常に激しい時には、最初から免疫グロブリン大量療法とステロイドなどを併用するケースもあります。

1982年から、この免疫グロブリン大量療法が行われるようになったことで、冠動脈瘤の後遺症が起こる子供は大幅に減少しました。しかし、早期に免疫グロブリン製剤を投与しても効果がなく、炎症が続き、巨大瘤(冠動脈径8ミリ以上)ができてしまう子供が現在もなおいるのです。

このように、免疫グロブリン大量療法が効かず、急性期が長引いてしまった場合、冠動脈瘤の後遺症が起こっているかどうか経過を観察し、それに対する治療を行っていく必要があります。これについては、こちら↓をご覧ください。

【川崎病3】後遺症に苦しむ子供たち・・・NHKの報道から

「子供の病気」に関する記事について

子供は様々な病気にかかります。当サイトでは、保育園や学校でもらってくる感染症やアレルギー性疾患など、それぞれの症状や治療法をご紹介しています。

〔子供がよくかかる感染症〕
子供がかかる典型的な感染症を列記します。詳しくは、それぞれの病名をクリックしてください。

インフルエンザ
高熱、寒気、頭痛・関節痛・筋肉痛など全身症状が現れます。11~3月ごろ流行します。
※タミフルやリレンザなどのインフルエンザ治療薬によって、飛び降りなどの異常行動が起こる事例が報告されています。

インフルエンザ脳症
インフルエンザの合併症。痙攣、意識障害、異常行動などを起こし、30%が死亡、25%に後遺症が残ります。
※具体的な事例をこちらにまとめました。

マイコプラズマ肺炎
発熱としつこく長引く咳が特徴。2016年秋の患者数が過去最高と報じられました。

川崎病
4歳以下の子供に多く発症する原因不明の病気。全身の血管に炎症が起こり、心筋梗塞のリスクを高める重篤な後遺症を残す危険性があります。近年増加の傾向があり注意が必要です。次の5つの記事からなります。
【川崎病1】急増する原因不明の難病、その症状と診断
【川崎病2】急性期の治療法「免疫グロブリン大量療法」
【川崎病3】後遺症に苦しむ子供たち・・・NHKの報道から
【川崎病4】後遺症の冠動脈瘤は、どのように形成されるのか
【川崎病5】冠動脈瘤をケアし、心筋梗塞を予防する

溶連菌感染症
喉のはれ、発熱などつらい症状を起こしますが、検査によって正確な診断が可能で、特効薬もあります。

水疱瘡
全身の発疹が特徴です。発疹は水ぶくれになり、かゆみを伴い、熱も出ます。

おたふく風邪
正式名称は「流行性耳下腺炎」。耳の下が腫れあがる症状が特徴です。

麻疹(ましん)=はしか
高熱と咳、鼻水、結膜炎、そして全身に発疹が現れる比較的重い感染症です。空気感染による非常に高い感染力が特徴です。
※年代別のワクチン接種状況と感染リスクについてはこちらを。
※1回のみのワクチン接種では効果がない理由はこちらを。

風疹
顔から全身に広がる発疹、発熱、耳の後ろあたりのリンパ節の腫れなどの症状を表すウイルス性疾患です。

先天性風疹症候群
妊婦が風疹にかかることによって、お腹の中の胎児にも風疹ウイルスが感染。その結果、生まれてくる赤ちゃんに引き起こされる白内障や心奇形、難聴といった障害のことを指します。

ウイルス性髄膜炎
発熱、頭痛、嘔吐が主な症状です。手足口病やヘルパンギーナ、おたふく風邪などの合併症として発症します。

〔夏の三大感染症〕
夏の乳幼児に流行する典型的な3つの病気があります。

手足口病
手と足と口の中にポツポツとした水疱性の発疹ができるのが特徴です。

ヘルパンギーナ
39℃を超える急な発熱と、喉の奥にできる水疱が特徴です。

咽頭結膜熱=プール熱
39℃を超える急な発熱と、痛みを伴う喉の症状(咽頭炎)と目の症状(結膜炎)が特徴です。

〔子供の貧血〕
「鉄欠乏性貧血」は、鉄分の不足によって起こる貧血です。成人女性によく見られる症状ですが、実は子供にも発症します。

乳幼児の鉄欠乏性貧血
乳幼児の鉄欠乏は発育に大きな影響を及ぼす危険性があると言われています。妊娠中の母親の鉄欠乏が、おなかの中の胎児の鉄欠乏の原因にもなるので、お子さんを授かったら、ママ自身のケアが重要になります。

思春期の鉄欠乏性貧血
思春期によく見られる「顔色が悪い」「疲れやすい」「注意力や集中力の低下」といった問題は、鉄欠乏が原因かもしれません。特に思春期の女性は、その約10%が治療が必要なレベルの鉄欠乏性貧血と言われています。

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