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【女性のめまい】4つの主要な原因と対処法

僕の妻は、たまに原因不明のめまいに襲われます。僕自身はめまいの経験がほとんどないので、いったいどういう状態なのかがよく分からず、対処法も知らないため、「そのうちよくなるだろう」と放置してしまうことが多くありました。後になって、「どうして助けてくれなかったの!?」と激怒され、そのたびに「頼りない夫」と思われ、信頼を落としてきました。

でも、後で振り返っても分からないのです。めまいで起き上がれない妻に対して何をすべきだったのか・・・

この記事では、そんな自分の反省を踏まえ、「女性がめまいで苦しんでいるとき、男として何ができるか」という視点で考えてみたいと思います。

男性より女性にめまいが多い理由

めまい

一般的に「めまい」は、女性の方が男性より多いとされています。これは、なぜでしょうか?その理由は解明されていませんが、その原因を考えることで、女性の性質、そしてめまいのメカニズムを知る手がかりになるかもしれません。

めまいの原因の可能性を探るために、男性と女性の違いをチェックしてみましょう。

ホルモン分泌の違い

女性の中には、生理と連動するような形でめまいを起こす人がいます。また、閉経後の更年期障害としてめまいが起こるようになるケースも多く、ホルモンバランスがめまいに関わっている可能性を示唆しています。

出産の経験

出産後からめまいが起こるようになるケースが知られています。僕の妻も、めまいを自覚するようになったのは出産後からです。

ある整体師さんの解説によると、出産時のいきみというのは、身体に大変な負担を与え、むち打ち症以上の衝撃を首や腰に与えるといいます。さらに、出産後に続く育児は、足腰への負担、睡眠障害など、身体の中枢を痛め続けることになります。こういった負担の蓄積が、めまいを引き起こしているのかもしれません。

女性のめまいには4つの種類がある

女性によく見られるめまいには、次の4つの種類があります。

・起立性低血圧によるめまい
・鉄欠乏性貧血によるめまい
・良性発作性頭位めまい症
・メニエール病によるめまい

それぞれ、どのような症状を呈するのか、ひとつひとつ解説していきましょう。

起立性低血圧によるめまい

起立性低血圧

出典:医学のあゆみ 243巻5号

これは「血圧の低下」が原因で起こるめまいです。

立ち上がったときに、クラクラするめまい。いわゆる「立ちくらみ」ですね。起立性調節障害とも呼ばれ、思春期や20代の女性に多いとされています。

寝ている時の血圧は正常値なのに、起き上がる際に、血圧が一気に20mmHgも低下します。重力で下に下がった血液を心臓に送り戻すことができず、脳に血液が行き渡らなくなって、めまいが起こります。一般的に「脳貧血」と呼ばれるものです。

注意していただきたいのは、「脳貧血」は「貧血」とは別物ということです。「貧血」は次の項目で述べる「鉄欠乏性貧血」のことを指し、血液中の赤血球の量(ヘモグロビンの濃度)が基準より低くなる状態を意味します。

「脳貧血」 → 起立性低血圧
「貧血」 → 鉄欠乏性貧血

と覚えておくといいでしょう。

鉄欠乏性貧血によるめまい

鉄欠乏性貧血

出典:すこやかネット

これは「血液の酸素運搬能力の低下」が原因で起こるめまいです。

血液中の鉄分量が不足すると、鉄分を重要な構成要素とするヘモグロビンが減少します。ヘモグロビンは酸素と結合して、身体のすみずみに酸素を送り届ける働きをしているので、鉄分が不足してしまうと、酸素を十分に運ぶことができなくなってしまいます。それが「鉄欠乏性貧血」です。食生活が乱れている人や、やせ気味の女性は、潜在的な鉄欠乏に陥っていることが多いので、注意が必要です。

また、女性の身体は、月経のたび出血し鉄分を失っています。その結果、鉄欠乏性貧血に陥り、めまいが起こりやすくなります。子宮筋腫や子宮内膜症など出血性の病気が隠れているケースもあります。

鉄欠乏貧血については、次の記事もぜひ参考になさってください。
【フェリチン不足による諸症状】潜在的な鉄分不足の原因と改善法
【フェリチンの血液検査】鉄分を補給する食事とサプリ
【貧血の治療は血液内科で】貧血に潜む大きな病気、正しい診断を受けるための専門医

良性発作性頭位めまい症

内耳

出典:協愛病院

これは「耳の平衡感覚の乱れ」が原因で起こるめまいです。

三半規管は体の傾きや加速度を感じる部分。何らかの衝撃で、内耳の耳石器という場所にある耳石(じせき)がはがれ、三半規管に入り込んでしまうと、平衡感覚に乱れが生じ、回転性のめまい=良性発作性頭位めまい症が起こります。めまいの持続時間は、30秒〜1分以内と短いのが特徴です。

女性のめまいの中で最も患者数が多く、めまい患者の半数を占めると言われています。女性は男性の2〜3倍もなりやすく、40代以降に発症しやすくなります。40代から多くなる理由として、閉経によって女性ホルモンの分泌が低下し、その影響でカルシウムの吸収が悪くなることが考えられます。カルシウムの吸収が悪くなると、耳石がもろくなり、はがれやすくなるのです。

激しいスポーツで頭を強く打った後などにも、耳石がはがれ発症することがあるので、注意が必要です。

メニエール病によるめまい

内リンパ水腫

出典:メニレット

これは「内耳の水ぶくれ」が原因で起こるめまいです。

めまいだけでなく、耳鳴りや難聴が同時に起こることが多いです。めまいの持続時間は、10分程度から数時間程度と、非常に長いのが特徴です。また、繰り返し起こることが重要な診断基準となります。

耳の内部で何が起こっているかというと、「内リンパ水腫」(内耳のリンパ液が増えて、水ぶくれの状態)になっています。

内耳は大きく分けてふたつの部位からできています。ひとつは、聴覚の細胞が詰まっている蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる器官。もうひとつは、平衡感覚を司る三半規管と耳石器です。

この両方もしくはどちらか一方が、増えすぎたリンパ液によって水ぶくれになることによって、症状が起こります。蝸牛が水ぶくれになると、めまいよりも難聴を自覚することになります。水ぶくれの程度が弱ければ、難聴まではいかず、「耳が詰まった感じ」や「耳鳴り」、「音が響く感じ」が現れます。一方、三半規管と耳石器が水ぶくれになると、難聴よりも、めまいを自覚することになります。めまいの強さも、グルグル回転するような激しいものから、フワフワ雲の上を歩いている感じのものまで様々です。

内リンパ水腫を引き起こす根底の原因には、ストレス、睡眠不足、疲労、気圧の変化、几帳面な性格などがあると考えられています。

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それぞれのめまいの治療法

めまいによって原因が様々なので、治療法も異なってきます。まずは自分のめまいのタイプを見極めることが重要になります。

起立性低血圧の治療法

まずは基本的な生活面での指導が行われます。一般的な低血圧症に対する指導と近い内容となります。即効性のあるものではなく、じっくりと取り組んで体質改善を目指すものとなります。

〔食事療法〕
水分と塩分を十分に摂り、高タンパク、高ミネラルのものを摂る

〔運動療法〕
水泳や毎日の歩行による全身運動と足の筋肉鍛錬、マッサージ(乾布・冷水摩擦)による皮膚の血液循環の改善

〔物理療法〕
タイツや弾性ストッキングによる下肢の血流貯留の防止

〔行動の注意〕
急激な体位変換は避け、臥位(寝た状態)から座位へ、また座位から立位へ変換する時はゆっくり動くようにする。

こういった生活指導に加えて、投薬治療も行われます。主に、血液量を増加させる薬、血圧を上げる薬、血管の拡張を防止する薬が用いられます。

起立性低血圧の実例として、僕の妻と長女(高校生)の体験談を記事にしていますので、こちらも参考になさってください。
【反応性低血糖症の実例】僕の長女(高校生)の体験談・・・診断、処方、治療経過について

鉄欠乏性貧血の治療法

鉄分食材

食事療法が主な方法となります。

まず、鉄分の中でも身体に吸収されやすい「ヘム鉄」を含む食材を積極的に摂取します。レバー、しじみ、あさりなどの貝類、かつお、卵黄などに多く含まれています。

また、鉄分の吸収を助ける栄養素として、たんぱく質、ビタミンC、ビタミンB群なども多く摂取すると、より効果的です。これらを豊富に含む食べ物として、レモン、オレンジ、いちごなどが挙げられます特にレモンは、ヘム鉄の吸収率を2倍にも引き上げると言われています。

ただ、食事からのみで必要量の鉄分を補うのは、忙しい現代人には至難の業です。特に、様々な症状に悩まされている人は、積極的にサプリメントの力を借りた方がいいと思います。

こちらの記事では、オススメサプリをご紹介しています。ぜひご覧ください。
【フェリチンの血液検査】鉄分を補給する食事とサプリ

良性発作性頭位めまい症の治療法

原理的には、三半規管に迷い込んでしまった「耳石」と取り出せばめまいは治るはずです。実際の医療現場では、患者の眼球の動きなどを観察しながら、頭の角度を微妙に動かすことで、三半規管から耳石を取り出す治療法が行われるそうです。NHKの「ためしてガッテン」では、この職人技を実践する医師を「ゴットハンド」として紹介していました。

しかし、耳石を取り出すことは、実は自宅でも可能なのです。

〔寝返り運動〕
仰向けに横になり、顔を10秒ずつ「右・正面・左」に向けます。10往復を1セットにして、1日2セット行います。首が痛ければ、身体ごと向きを変えても効果は変わりません。

寝返り運動

出典:CITY LIVING TOKYO

〔エプリー法〕
ベッドに仰向けになります。この時、頭をベッドの端から少しずり落ちるくらいの角度にしておきます。その状態で頭を左右の横に向けてみます。その際、めまいを感じる側を「患側」と呼びます。仮にここでは、右横を向いた時にめまいを感じる、つまり右側が患側、というふうに仮定します。

1)まず顔を右45°に向けて、1~2分キープ(患側)

2)今度は左45°を向いて、1~2分キープ

3)身体を仰向けから左側臥位(横向き)にする

4)このとき、顔は左下を向いている

5)1~2分後、そのまま身体の左下を見るようにして起き上がる

ポイントは、それぞれの身体や頭の動きを、すばやく行うことです。三半規管の角度を変化させることで、中に入り込んだ耳石をコロコロと転がし、最終的に排出するのが目的ですので、耳石をうまく転がすイメージで、すばやく動くようにしてみてください。一連の運動の直後に、強いめまいを感じることがありますが、30秒くらいでおさまります。理想的には、このエプリー法を午前中に2~3回行って、その日一日はなるべく起きておくようにします。そして寝る際には、右側(患側)を下にして寝ないようにします。

エプリー法

出典:分かりやすい図解・脳神経外科領域の各種疾患
主な症状と治療、また予防について

〔予防法〕
耳石のかけらが三半規管に入らないようにするために、枕を高くすると効果的です。いつも使っている枕にタオルを重ねて高くするだけでOKです。耳石のかけらよりも高い位置に三半規管をキープすることで、入りにくくなるというわけです。

メニエール病の治療法

〔投薬治療〕
乗り物の酔い止めとして知られる「トラベルミン」は、神経の興奮を抑えてめまいや吐き気をやわらげると同時に、内耳の循環を改善する働きがあり、抗めまい薬として使われます。

また、内リンパ水腫を軽くする目的で、利尿剤が使われることもあります。体内の余計な水分を外に出すことで、めまいが軽減するとされています。

その他に、自律神経調整薬や血流改善薬、ビタミン薬などが処方されますが、いずれも根本的な治療法ではなく、あくまで対症療法です。

〔漢方薬〕
内リンパ水腫を改善するために、体内の「水」に働きかける漢方が処方されます。

・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
水毒に効果があり、めまいなどの症状を緩和

・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
水毒に効果があり、めまい、頭痛、吐き気、冷え性などに有効

・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
水毒に効果があり、吐き気や頭痛に有効

・五苓散(ごれいさん)
利尿効果があり、吐き気、めまい、頭痛に有効

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
悪血に効果があり、血流をよくし、頭痛や肩こりに有効

ちなみに僕の妻は、メニエール病とは関係ありませんが、乳腺炎の治療で「五苓散」を使ったことがあります。乳腺炎は、詰まってしまった乳腺から水分がうまく出ずに腫れあがってしまう病気ですので、水分の排出を促す五苓散は、治療薬として使われるのです。病気が違うので参考にはならないかもしれませんが、乳腺炎への効果はかなり高かったです。詳しくはこちらの記事を。
【妻が乳腺炎になったら】 症状と適切なケア、夫に何ができるか(僕の体験談)

〔手術〕
次の手段としては手術があります。「内リンパ嚢解放術」と「前庭神経切断術」が代表的な手術です。

「内リンパ嚢解放術」は、内リンパ嚢に穴をあけ、たまっていたリンパ液を抜いて減圧することにより症状を緩和する手術です。めまい発作が再発しにくい手術といわれていますが、有効率は70%程度にとどまります。

「前庭神経切断術」は、聴覚の神経を傷つけずに、平衡感覚をつかさどる前庭神経を切断する手術です。有効率は90%以上といわれています。

ただ、メニエール病のめまいは不規則に現れるのが特徴なため、手術の前と後で、本当に症状が改善したのかを評価することが難しく、手術の有効性については慎重な意見も多いのが現状です。

おだいじになさってください

こうしてみると、「起立性低血圧」は基本的な生活指導、「鉄欠乏貧血」は食事療法、「良性発作性頭位めまい症」は耳石を取り出す体操、「メニエール病」は対症療法の投薬か手術・・・

どのタイプのめまいも、めまいを起こして苦しんでいる人を、その場ですぐに楽にしてあげられる方法はないことが分かります。転倒しないように安静な状態にしてあげることくらいしか、できないのです。

妻から「どうして助けてくれなかったの!?」と責められる僕は、どうしてあげるべきだったのか・・・

僕たち男性にできることは、パートナーの女性がどのようなタイプのめまいを持っているのかを知り、そのタイプに応じた生活上の注意点や食事のケアを、本人と一緒に勉強すること。もっとも多いと言われる「良性発作性頭位めまい症」の場合は、耳石を取り出すことのできる専門家を探してあげたり、耳石を取り出す運動を一緒にやってみること。

こういう地道な努力を、一緒にやっていくことなのかもしれません。そうした姿勢が女性の信頼を得ることになるのだと思います。

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