こんにちは。そなてぃねです。
僕はクラシック音楽が好きで、ジャズはほとんど知りません。
でも、ジャズピアニストの小曽根真(おぞね・まこと)さんには、以前から興味を持っていました。
小曽根さんは、たまにクラシックを演奏するのですが、それがとても独創的で、いつか本職のジャズを聴いてみたいと思っていたのです。
2019年5月10日に大阪市のいずみホールで行われた「IZUMI JAZZ NIGHT 2019」は、本当に素敵なひとときでした。
この記事では、初めて聴いた小曽根さんのライブの感想を書いてみたいと思います。
演奏会の概要
【IZUMI JAZZ NIGHT 2019 小曽根真SOLO】
- Something’s Happening (Makoto Ozone)
- The Beginning (Makoto Ozone)
- Lullaby for Rabbit (Makoto Ozone)
- I need you here (Makoto Ozone)
- Flores Do Lirio (Makoto Ozone)
- Avalon (traditional)
~休憩~
- Waltz for Debbie (Bill Evans)
- Sol Azteca (Makoto Ozone)
- Time Remembered (Bill Evans)
- Mirror Circle (Makoto Ozone)
- La Fiesta (Chick Corea)
~アンコール~
- Gorgeous (Mitchel Forman)
- Ray Bryant (Cubano Chant)
ピアノ:小曽根真
2019年5月10日(金)
いずみホール(大阪市)
そなてぃね感激度 ★★★★★
聴衆に語りかけながら…
初めて聴く曲ばかりで、ドキドキしながら聴き始めました。
クラシック音楽のリサイタルの場合、演奏者は極限の集中力で作品に向き合います。聴衆にも物音一つ立てられないような緊張感が求められます。
それに対して小曽根さんは、会場の空気に身を委ねて、紡ぎ出される音と対話するように、音楽を奏でていきます。ちゃんと楽譜はあるのでしょうが、まるでその瞬間に作曲しているみたいな感じ。
その自由な空気に、僕はすっかりリラックスしてしまいました。
印象的な場面がありました。
ある作品で小曽根さんが弾き出すと、一人のお客さんがうれしくなって、思わず拍手をしたんです。演奏中に、です。
クラシックの演奏会なら、ありえない光景。思わずヒヤッとしたのですが、小曽根さんは、ふと演奏を止めて、拍手したお客さんの方を向き、
「知ってる?」
と優しく聞いたのです。そして、そのお客さんにプレゼントするかのように、続きを弾き始めました。
なんて粋なんだろう…
小曽根さんは、その後も聴衆に優しく語りかけながら、大切な作品たちを、愛おしさいっぱいに届けてくれました。
ジャズピアニスト小曽根真さん
ジャズピアニスト小曽根真さんのプロフィールを、公式サイトから引用します。
1983年バークリー音大ジャズ作・編曲科を首席で卒業。同年米CBSと日本人初のレコード専属契約を結び、アルバム「OZONE」で全世界デビュー。
以来、ソロ・ライブをはじめゲイリー・バートン、ブランフォード・マルサリス、パキート・デリベラなど世界的なトッププレイヤーとの共演や、自身のビッグ・バンド「No Name Horses」を率いてのツアーなど、ジャズの最前線で活躍。
近年はクラシックにも取り組んでいて、バーンスタイン、モーツァルト、ラフマニノフ、プロコフィエフ、ショパンなどで、本職のクラシックのピアニストとはまったく違う感性で、印象的な演奏を聴かせてくれています。
ニューヨーク・フィル、サンフランシスコ響、デトロイト響、シカゴ響など、アメリカの主要オーケストラと共演するなど、活躍の場を広げています。
▼1983年の全米デビューアルバム。今回も演奏された名バラード「I need you here」が収録されています。
ピアノ・ソロのジャズは聴きやすい
僕はジャズがもともとちょっと苦手です。
ダブルベース(コントラバス)の音程が、どうしても上ずって聴こえてしまって、耳になかなか馴染まないのです。
でも、今回初めてピアノ・ソロでジャズを聴いてみて、とても聴きやすかったです。
ジャズの入門者には、入りやすいかもしれませんね。
バラードに魅了されて
クラシックの演奏会では曲目が記されたプログラムが必ず配られます。ですが今回の公演で配られたものには、小曽根さんのプロフィールだけが書かれていて、曲目はまったくありませんでした。
何も知らされないまま、小曽根さんに導かれながら新しい音楽に触れていくのは、とても楽しい時間でした。
アップテンポな曲、軽やかな曲、おしゃれな曲… いろんなテイストの作品が万華鏡のように披露されていく中で、僕が特に心を打たれたのは、バラードでした。
前半の半ばで演奏された「I need you here」の甘く切ない旋律に、胸が締め付けられました。
この曲は、先程ご紹介した全米デビューアルバム「MAKOTO OZONE」にも収録された名バラードです。
後半に演奏された、ビル・エヴァンスの「Time Remembered」も、深く心に残るバラードでした。
ビル・エヴァンスはモダン・ジャズを代表するピアニストとして知られ、ドビュッシーやラヴェルに影響を受けたそうです。
洗練された印象派のような響きは、他の作品と一線を画するものでした。
【参考動画】 ビル・エヴァンス・クインテットによる「Time Remembered」。この響き、病みつきになります…
▼小曽根真が奏でるバラードの魅力は、この1枚に詰まっています。
あとがき
僕はまったくジャズに詳しくないので、皆さんに「情報」をお伝えすることはできません。
でも、やっぱり音楽って「情報」じゃないよなぁ… と今回の小曽根真さんのライブを聴いて、しみじみ感じました。
小曽根さんの紡ぎ出す魔法のような世界に、ただ身を委ねる贅沢な時間。
それが本質だと思い出させてもらいました。