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【川崎病1】急増する原因不明の難病、その症状と診断

突然高熱に襲われ、全身の血管が炎症で腫れ上がる原因不明の難病「川崎病」。乳幼児を襲い、心臓に重篤な後遺症を残します。近年患者数が急増し、2014年には過去最高を記録。いったいどのような病気なのでしょうか。

川崎病とは、どんな病気か

1967年に川崎富作博士が、小児の手足の指先から皮膚がむける症状を伴う「急性熱性皮膚粘膜りんぱ腺症候群」を発表(川崎医師が最初に症例を発見したのは1961年)。それが新しい病気であることが分かり、博士の名前をとって川崎病という病名になりました。世界的にも「川崎病」(Kawasaki Disease)という名前で知られています。

この病気は世界各地で報告されていますが、とくに日本人、日系アメリカ人、韓国人などアジア系の人々に多くみられます。日本では2000年代に入ってから毎年1万人以上が罹患していて、患者数は(罹患率も含めて)上昇を続けています。

4歳以下の乳幼児がなりやすい病気で、女の子よりも男の子の患者の方が多いのも特徴です。

その症状は、一言で言うと、「全身の血管の炎症」です。原因ははっきりとは分かっていませんが、ウイルスや細菌に感染したのをきっかけにそれを防ごうとする過剰な免疫反応が起こり、その結果として全身の血管に炎症が生じるのではないかと考えられています。中国から風に乗って運ばれてくる汚染物質が原因とする公害説もありますが、詳細は不明です。

川崎病で最も怖いのは、後遺症として冠動脈にコブ(冠動脈瘤)ができてしまうことです。冠動脈とは、心臓全体に張り巡らされた血管で、心臓に栄養を供給しています。これがつまると「心筋梗塞」となり、心臓が止まってしまいます。川崎病にかかった患者の3%にこうした後遺症が残ると言われていて、彼らは心筋梗塞のリスクを一生背負って生きていくことになってしまいます。

こうした危険な後遺症を避けるために、川崎病が疑われたら、できるだけ早期に医師の診断を受け、適切な治療を行うことが重要となります。子供がよくかかる他のウイルス性の疾患と症状がよく似ているために川崎病と気付かれず、診断が遅れて後遺症を残してしまうことがあります。

このサイトでは川崎病について、5つの記事にまとめています。

【川崎病1】急増する原因不明の難病、その症状と診断【川崎病2】急性期の治療法「免疫グロブリン大量療法」【川崎病3】後遺症に苦しむ子供たち・・・NHKの報道から【川崎病4】後遺症の冠動脈瘤は、どのように形成されるのか【川崎病5】冠動脈瘤をケアし、心筋梗塞を予防する

この記事は1本目にあたります。川崎病の急性期の治療法や後遺症については、2本目以降の記事を参考にしてください。今回は、まず川崎病の症状と診断について詳しく解説します。



川崎病の症状

早期に川崎病であることを見抜くためにも、川崎病の症状について詳しく見ていきましょう。次にあげる6つの主な症状のうち、5つ以上が当てはまる場合に、川崎病と診断が下されます。いずれの症状も、「全身の血管の炎症」が、結果として様々な形で現れたものと考えられます。

5日以上続く発熱(38度以上)

前触れのない急な発熱であることが特徴です。38~39度以上の高熱となります。

発疹

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形状や大きさや場所が定まらない赤味を帯びた発疹が全身に現れます。この画像は一例であり、患者ごとにそれぞれ発疹の現れ方が異なります。

両方の目が赤くなる

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両目の白眼の部分が赤く充血します。「両側眼球結膜充血」と言います。血管1本1本が見えるような形で充血することが川崎病における結膜充血の特徴です。目やにがほとんど出ないことも特徴です。

赤い唇と「いちご舌」

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舌が真っ赤になり、プツプツとした状態になる「いちご舌」は川崎病の特徴的な症状のひとつです。口の中の粘膜部分全体が真っ赤になり(びまん性発赤)、唇が割れて出血することもあります。

手足の腫れと膜様落屑

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発症から約10日間の初期の期間を「急性期」といいます。急性期は症状が最も激しく現れる時期です。この時期に、手足などがむくみ、紅斑(皮膚表面の発赤)が見られることがあります。皮膚がかたく「ぱんぱん」「てかてか」に張り、指で押してもへこまない、跡が残らないという特徴的な腫れ方をします。

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急性期を過ぎて回復期(発症後およそ10日目から1か月後)に入ると、これまでに挙げてきたような症状が落ち着いてきます。その一方で、爪と指の間から皮がめくれる「膜様落屑(まくようらくせつ)」という症状が見られることがあります。




片側の首のリンパ節が腫れる

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約65%の頻度で急性期に「非化膿性頸部リンパ節腫脹」という、首のリンパ節の腫れがみられることがあります。首のリンパ節が痛みを伴って大きく腫れあがりますが、化膿しないという特徴があります。

不定形例の川崎病の特徴と診断

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上記の川崎病の典型的な6つの症状のうち4つの症状しか認められない場合でも、断層心エコー法や心血造影法で「冠動脈瘤」「冠動脈の拡大」が確認され、ほかの疾患が除外されたときには「不定形例の川崎病」と診断されます。

その他の症状

これらの主要症状のほかに、BCG接種部位が赤くなる、関節の痛み、下痢、腹部膨満、嘔吐、軽度の黄疸や鼻水などがあります。中でもBCGの摂取部位が赤くなる症状は見た目にも分かりやすい典型的な症状です。

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また血液検査では、白血球、CRP(炎症反応)、肝細胞逸脱酵素が上昇し、ナトリウム、アルブミンが低下し、回復期に血小板が上昇するという変化が起こります。

死に至ることも

急性期はふつう1~2週間で回復しますが、症状の強い場合は1か月以上続くこともあります。ごくまれに敗血症のようになったり、心臓の筋肉に炎症がおきる心筋炎のため心不全となり、死にいたる場合もあります。急性期をいかに短く切り抜けるか、適切な初期治療が非常に重要です。決してあなどってはいけません。

次の記事で詳しく触れますが、川崎病で何と言っても気をつけなればならないのは、心臓に影響を与える重篤な後遺症です。それを回避するためにも、ここに挙げた特徴的な症状を見逃さず、早期に適切な治療を受け、急性期をできるだけ早く収束させることが重要です。そのための治療法「免疫グロブリン大量療法」については、こちら↓をご覧ください。

【川崎病2】急性期の治療法「免疫グロブリン大量療法」


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