僕は男性です。ですので、女性を悩ませる生理痛のつらさを、実感することはできません。ですけど、家庭や職場で、女性と一緒に過ごすために、男性はみな、生理痛について知っておく必要があると、最近よく思うのです。
男性だからこそ、ともに学びましょう!女性たちと平和的な日々を送るために…
生理痛とは
僕の家には、倦怠期になって久しい妻と、高校生になった長女がいます。彼女たちは、基本的に(僕に対しては)いつもご機嫌ナナメなのですが、さらに輪をかけて「すごーく機嫌が悪い」ときがあり、扱いに困ってしまいます。これ、間違いなく生理痛なのです。
職場でも、露骨に機嫌が悪くなる女性社員がいて、振り回されてしまうことがあります。腫れ物に触れるような扱いになることも、しばしばです。男性の皆さん、経験があるのではないでしょうか。
僕たち男性にまずできることは、女性のつらさに少しでも共感すること。そのためにも、生理痛について正しく知ることから始めたいと思います。生理痛について学ぶ前に、まずは「生理」とは何かを見てみましょう。
「生理」とは
生理とは、正確には「生理的出血」のことです。毎月起こることから、「月経」と呼ぶこともありますよね。
女性の身体の中にある「卵巣」では、毎月、妊娠のために卵が排出されます。これを排卵といいます。
その卵が、男性の精子と結びつくと、受精卵となり、赤ちゃんになっていきます。
受精することを想定して、卵巣からは、卵を排出するタイミングで、赤ちゃんを育てるためのベッドを作るよう、子宮に指示を出します。そして、「子宮内膜」が、子宮の壁の内側に作られます。
もし受精すれば、受精卵はそのベッドに着床して、赤ちゃんへと育っていきます。
ですが、卵は1~2日ほどしか生きられないため、多くの場合、精子と出会うことなく、死んでしまいます。
そうなると、子宮内膜は必要なくなり、子宮の外に排出されることになります。それが、生理の際の経血です。
そして、子宮内膜が子宮から排出されるときに、生理痛は引き起こされます。
生理痛の症状
日本産科婦人科学会のデータによれば、薬を服用しても仕事ができないほどの「かなりひどい生理痛の人」が2.8%、薬を服用すれば、何とか仕事ができるくらいの「ひどい生理痛の人」が25.8%もいるそうです。
つまり、約3割の女性が、仕事に支障が出るほどのひどい生理痛に悩まされているわけです。皆さんの家庭や職場にいる女性の中にも、それだけのつらさを抱えている人がいることを、知っていなければいけませんね。
厚生労働省のデータによると、生理痛で起こる主要な症状は、次の4つになります。
・腹痛 ・・・ 67.3%
・腰痛 ・・・ 46.3%
・全身倦怠 ・・・ 36.3%
・イライラ ・・・ 35.5%
もっとも多くの女性が苦しんでいるのが、下腹部の痛みです。痛みがひどくて、寝込んでしまい、動けなくなることもあるそうです。こうなってしまうと、出勤するのは難しいですよね。病的にひどい場合、「月経困難症」といわれ、治療の対象になってきます。
精神的にも不安定になるようで、「イライラ」を訴える女性もかなり多いことが分かります。多少の不機嫌も受け止められるような、器の大きな男でありたいものです。
また、ここには含まれていませんが、「偏頭痛」のような、ズキズキと脈打つような頭痛の症状も、多くの女性を苦しめています。
生理痛の原因
「プロスタグランジン」が過剰に分泌される
「プロスタグランジン」は、生理を引き起こすホルモンの一種で、子宮を収縮させる作用があり、必要がなくなった子宮内膜を子宮の外に排出します(この働きを利用して、陣痛促進剤として使われています)。
というわけで、プロスタグランジンは生理に欠かせない物質ですが、過剰に分泌されると子宮を必要以上に収縮させてしまいます。そのため、軽い陣痛のような痛みを下腹部や腰に感じます。
またプロスタグランジンには、痛みを強める作用や血管を収縮する作用もあります。それが、頭痛、肩こり、腰痛、冷えやだるさ、胃腸の痛みや吐き気の原因にもなると考えられています。
子宮の出口が狭い
思春期の女性など、まだ子宮が十分に発達していない場合、経血の出口である子宮口の周辺が、硬くて狭いために、子宮内膜がうまく排出されません。そのため、プロスタグランジンが過剰に分泌されることになります。大人になって子宮が成熟するにしたがって、この痛みは自然に弱くなります。
妊娠・出産を経験することで子宮口が広がると、子宮内膜が排出しやすくなり、生理痛が軽くなるケースが多いようです。
冷えやストレスによる血行不良
冷房による冷え、身体を締めつける下着やピッタリとしたジーンズなどの服装、長時間同じ姿勢の仕事などで全身の血行が悪くなると、骨盤内の血流が足りなくなり、子宮や卵巣が正常に働かなくなります。そのため、腹痛や腰痛が悪化します。
血行不良の原因として、ストレスによるホルモンバランスの悪化や、喫煙による全身の血管の収縮なども考えられます。いずれも、生理痛を悪化させる要因となります。
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生理痛の緩和方法
鎮痛薬の服用
薬局などで市販されている、生理痛や頭痛のための鎮痛薬は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とよばれています。子宮を収縮させるプロスタグランジンの分泌を抑えることで、痛みを和らげてくれます。
服用のポイントは痛みを我慢せず、痛みはじめたら早めに服用すること。プロスタグランジンの生成が早い段階で抑えられ、効果が得られやすくなります。痛みを我慢してしまうと、プロスタグランジンが大量に分泌されてしまい、効果が現れにくくなってしまいます。
薬については、次の記事にまとめていますので、参考になさってください。
【生理痛に効く薬】ドラッグストアで入手できる市販薬10選
身体を温めて、「冷え」を防ぐ
冷えによる血行不良が生理痛を悪化させてしまうので、夏でも冬でも、とにかく体を冷やさないことが重要です。下腹部や腰に、ひざ掛けや毛布をかけたり、使い捨てカイロをあてるなどして、子宮や腰のまわりを温めて血行をよくしましょう。夏は、冷房で冷えすぎないように注意が必要です。 入浴は、シャワーだけではなく、ゆっくりお湯につかって全身を温めましょう。
体を締めつけない服装
ジーンズやガードルなどで体を締めつけると、血流が滞って、生理痛を悪化させます。ボタンをゆるめたり、ゆったりとした服装に着替えるなどしましょう。
軽いストレッチや運動をする
体を動かすことで全身の血行がよくなります。またストレスの解消にも効果的です。足の付け根の筋肉を伸ばすなど、子宮や骨盤の周りの筋肉を意識するといいでしょう。軽い運動としては、散歩くらいの気楽に取り組めるものがいいでしょう。気分転換にもなると思います。
アロマテラピーなどでリラックス
生理痛にはメンタル面も影響するといわれています。好きな香りのアロマオイルを、ハンカチに数滴染み込ませて、いつでも香りを楽しめるようにしたり、入浴時に湯船に入れたり、生活のいろいろな場面で活用してみてください。
ゆっくり入浴する
入浴で体を温め血行を促すことによって生理痛は緩和されます。イライラを鎮める効果も期待できます。ぬるめのお湯にゆっくり入り、血液の循環を良くしましょう。生理中は入浴を控えるという人もいますが、湯舟の中は水圧があるので、月経の血液が流れ出すことも、子宮内にお湯が入ることもないそうです。ただし、湯舟から出るときに急に経血が流れ出ることがあるようなので、温泉や大浴場は遠慮した方がよさそうです。
ツボを押す
生理痛に効果があるとされるツボがいくつかあります。手指で、気持ちがいいなと思う程度の力でゆっくり押してみましょう。ツボについては、こちらの記事に詳しく書いていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
【生理痛に効くツボ】男性パートナーにもできるサポート、即効性のある緩和方法
低用量ピルの服用
避妊のための薬であるピルを、低用量で使用することで、生理痛を楽にする効果があることが知られています。適量を飲み続けることで、女性ホルモンのバランスが安定し、メンタル面にもいい影響があるといいます。ですが、副作用による血栓で死亡事故も報告されているようですので、医師の指導を受けて服用することが重要です
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
【PMSと生理痛に低用量ピル】治療の効果と副作用
〔追記〕偏頭痛に特化した「ズツノンDr.」の効果
偏頭痛の治療で有名なフィーバーフューをはじめ、3種類の西洋ハーブ、8種類の伝承温和漢を配合したサプリメントを発見しました。女性特有の痛みにも有効な成分も多数含まれているので、つらい生理痛にも効果を発揮するかもしれません。その名も「ズツノンDr.」。それがこちら↓です。
僕が実際に服用してみた体験談も、ぜひ参考にお読みください。
【頭痛】ズキズキする偏頭痛の対処法に自然素材サプリメント「ズツノンDr.」が効果的!(体験談)
他の病気が疑われるケース
鎮痛剤を飲んでも効かないほどの強い痛みには、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」などの重い病気が潜んでいるケースがあります。
子宮内膜症
本来子宮の中で作られる子宮内膜が、腹膜や卵巣などの子宮ではない場所で作られてしまう病気です。子宮以外の場所で子宮内膜がつくられた場合にも、生理のタイミングで子宮内膜が剥がれますが、体外に排出することができないため、炎症や痛みを引き起こします。
子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の中にできる良性の腫瘍のことです。子宮筋腫があると、生理痛や生理の血液量が多かったり、血の塊が混じったりします。出血が多いため貧血状態になることがあり、立ちくらみや動悸などの症状が出ることがあります。
おだいじになさってください
僕の職場は、女性の社員が多いせいか、わりとオープンな環境です。後輩の女性社員の中には、「私、今日は流血してますので」とか、「女の子の日なので、近づかないでください」とか、はっきり言ってくれたりします。「あれが重いので」と言って、堂々と欠席できるような空気があります。
でも、これっておそらく特殊なケースですよね。僕の会社でも、つらいのを隠して懸命に仕事している女性も多いと思うんです。激務で休むに休めないことも、当然ありますし。
そんなとき、やはり男性社員からの理解があるかないかは、非常に重要だと思います。女性の戦力を重視するならば、安心して仕事が続けられるよう、「生理痛のときは休め」と言ってあげられるような職場でありたいと思います。
僕は男性です。ですので、このような記事を書くべきなのか、ちょっと悩みました。でも、自分のための勉強、と思って調べて書いてみたわけです。そうすることで、女性の苦労に少しでも近づけたような気がします。この記事、ぜひ男性の方に読んでいただき、周囲の女性を大事にするきっかけにしていただければと願っています。