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【涙腺崩壊】ドラマ「アンチヒーロー」感想|父と娘の再会に心震えた

TBS日曜劇場「アンチヒーロー」

2024年4月期に放送されたTBS日曜劇場「アンチヒーロー」。長谷川博己さん演じる弁護士が、ある「犯罪者」の冤罪を晴らす法廷劇ですが、私が心を奪われたのは、冤罪によって引き裂かれた父と娘の再会でした。

緻密な構成と重厚な人間ドラマ

この作品は、4人の脚本家によるオリジナルストーリーで、緻密な構成と重厚な人間ドラマが魅力の司法ドラマです。

オムニバス形式で描かれる事件を通して、主人公の弁護士・明墨正樹が司法の闇を暴いていく姿は、底しれぬ迫力を感じさせます。

そして、かつて自身が検事として担当した死刑囚の冤罪を晴らす過程は、息を呑むほどの緊迫感に満ち溢れています。

長谷川博己さんは、暗いオーラを纏うミステリアスな弁護士を見事に演じきり、その存在感は圧巻の一言。北村匠海さん、堀田真由さん演じる若手弁護士も、複雑な背景を抱えながらも事件に真摯に向き合う姿が印象的でした。

ラスボスである検事正・伊達原を演じた野村萬斎さんは、狂言師ならではのやや大袈裟な演技で、圧倒的な悪役感を醸し出していました。その存在感は、物語に更なる緊張感を与えていたと言えます。

父と娘の再会に涙が止まらない…

私が最も心を揺さぶられたのは、死刑囚・志水裕策(緒形直人さん)とその娘・沙耶(近藤 華さん)の物語です。

ある日突然、父親が逮捕された時、娘は5歳。殺人犯の娘として過酷な日々を生きることになり、両親は離婚。さらに母親は仕事を見つけた矢先に交通事故で亡くなり、児童養護施設に引き取られることに。

冤罪により引き離された幼い娘と父親。12年後に再会を果たしたとき、娘は17歳になっていました。

再審を諦め、静かに死のうとしていた志水に、明墨弁護士が語りかける第7話「追求」のラストシーンは、私の胸を締め付けました。

娘と会えなくなった父親の心の叫びが、緒形直人さんの慟哭と、長谷川博己さんの迫真の訴えを通して、痛いほど伝わってきたのです。

そのくだりを一部引用します。
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明墨「あなたが最後に沙耶さんに会ったのは事件前、5歳の頃ですよね」

志水「やめてください…」

明墨「彼女は今17歳になりました。とても優しくて賢い子です」

志水「やめてくれ!そんな話、私には聞く資格はない…」

(17歳になった娘の写真を見せられ震える志水)

志水「…しまってください。早く!」

明墨「見てあげてください!成長したあなたの娘さんです」

志水「やめろ!」

明墨「見たら抑え切れなくなるからですか。会いたいという気持ちを。沙耶さんは今どんな女性になっているのか。どんな表情で、誰とどんなふうに生きているのか。この12年間、あなたはずっと思い描いてきたはずです。何度も何度も。知りたくないはずがない。会いたくないはずがない。本当は今すぐにでも会って抱きしめたいはずです。あなたは父親なんだから!その気持はきっと、沙耶さんも同じです」

志水「違う!死刑囚の父親なんか会いたいわけがない。私は罪を犯したんだ。とても大きな罪を。もう来ないでくれ」

明墨「あなたは明日死ぬかもしれない。刑が執行されたら、沙耶さんは二度とあなたに会えない。あなたに触れることも、声を聞くことも。でもそれだけじゃない。あなたの無実を知ることもなく、殺人犯の娘としてこの先何十年も生きていかねばならないんです。それはもしかしたら、死刑を迎えるあなた以上に酷かもしれません。あの子を守れるのはあなただけなんです。勝手なことを言っているのはわかっています。でもどうか、考えてみてもらえませんか。私があなたを必ず無罪にしますから」
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実は私自身、娘と5年間引き離された経験があります。「アンチヒーロー」の志水と沙耶の姿は、私自身の経験と重なり、涙が止まりませんでした。再会できた喜びとは裏腹に、失われてしまった時間の大きさに胸が潰れる思いでした。

僕が娘と最後に会ったのは6歳になったばかりの頃。妻を相手に調停を起こし、ようやく再会できた時、娘は12歳になろうとしていました。5年間の僕の知らない成長の過程、もう取り返しがつかない時間…

「アンチヒーロー」では、最終的に志水の冤罪が認められ、彼は無罪となり、娘と再会を果たします。刑務所の外で待っていた娘の姿を見た瞬間、彼は顔をくしゃくしゃにして泣き崩れ、娘を強く抱きしめます。そのシーンは、何度見ても涙が溢れてきます。

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人間の弱さ、そして家族の温かさ

「アンチヒーロー」は、人がなぜ不正に手を染めてしまうのかという「人間の弱さ」をテーマにした物語だったと思います。

しかし、それだけでなく、家族の温かさや絆の大切さを改めて教えてくれる作品でもありました。冤罪によって引き裂かれた父と娘の再会は、私の心に深く刻まれ、忘れられないものとなりました。

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