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【演奏会の感想】2022年4月23日 〈卒寿〉外山雄三 & レジェンド(清水和音・堤剛・前橋汀子)大阪交響楽団

外山雄三 卒寿コンサート プログラム

こんにちは。そなてぃねです。

2022年4月23日、ザ・シンフォニーホールで行われた、外山雄三さんの卒寿を祝う記念コンサートを聴きました。

卒寿と言うと、なんと90歳!

錚々たるソリストが駆けつけ、祝福と敬意と感謝に満ちた素晴らしい時間を共有することができました。

演奏会の概要

〈卒寿〉外山雄三 & レジェンド

  1. 外山雄三作曲
    前奏曲(改訂版)
  2. チャイコフスキー作曲
    ピアノ協奏曲 第1番 変ロ長調 作品23から第1楽章
  3. ドヴォルザーク作曲
    チェロ協奏曲 ロ短調 作品104から第3楽章
  4. 外山雄三作曲
    管弦楽のためのラプソディー
  5. メンデルスゾーン作曲
    ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64から第1楽章
  6. ワーグナー作曲
    楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

指揮 外山雄三・太田弦
ピアノ 清水和音
チェロ 堤剛
ヴァイオリン 前橋汀子

 

2022年4月23日(土)14:00~
ザ・シンフォニーホール

 

そなてぃね感激度 ★★★★☆

日本最高齢のマエストロ 外山雄三さん

外山雄三 卒寿コンサート 花2

外山雄三さんは1931年生まれ。去年90歳を迎えました。

本当は、この〈卒寿〉コンサートも去年に予定されていましたが、コロナの影響で延期され、1年遅れの開催となりました。

東京音楽学校(現在の東京芸大)では作曲を学んでおられます。今回も外山さんの代表作である「管弦楽のためのラプソディー」と、比較的新しい「前奏曲」が演奏されました。

指揮者としては、1956年に25歳でN響デビュー。それから66年間も指揮台に立ち続けているのですから、想像を絶するものがあります。

90歳の年齢を感じさせない姿

ステージに現れた外山さんは、しっかりとした足取りで、意外に速くスタスタと指揮台に向かいました。

首は少し前に傾いているものの、背筋はしゃんと伸びていて、90歳という年齢を感じさせません。

椅子に腰掛けることなく、全曲を立って指揮されたことが驚きでした。

自作の前奏曲、冒頭から雄渾な引き締まった響きが鳴り響きます。指揮は最小限の動きですが、要所で力強いタクトを見せ、音楽をぐっと引き締めます。

鋭い現代的な和声と、叙情的な美しい旋律。日本的な美意識を感じさせる簡潔な構成。今後いろんな楽団に演奏してもらいたい、素晴らしい作品でした。

コンサート全体を通して、外山雄三さんの立ち居振る舞いの一つひとつが、なんとも言えず人間味に溢れ、優しく紳士的。その姿を見ているだけで喜びに包まれました。

清水和音さんのチャイコフスキー

最初のコンチェルトは清水和音さんによるチャイコフスキーの1楽章。

やはり清水さんの音は素晴らしい。力みのない自然体の姿勢から、まろやかで輝かしい音が鳴る。音楽の運びはしっかりと地に足が着いていて揺るぎがない。

外山さんの指揮もさすがの貫禄。冒頭のホルンの旋律から、雄大な音楽が流れ出しました。

堤剛さんのドヴォルザーク

次は堤剛さんによるドヴォルザークの3楽章。木目調で張りのある美しい音を堪能しました。

堤さんは1942年生まれ。80歳で技術的な高い水準を維持していることに感服。

ただ、ところどころで急にテンポが緩んで危ない場面も。外山さんは良くも悪くもバタバタしないので、見事にオケがずれていく。

そういう時は大阪交響楽団コンサートマスターの森下幸路さんが、影の指揮者となって着地させる。ステージの全員が、外山先生を助けようと一丸となっている様子も感動的でした。

外山雄三さんの名曲「管弦楽のためのラプソディー」

管弦楽のためのラプソディーは、作曲家 外山雄三さんの代表作。1960年のN響海外演奏旅行のために作曲され、今日に到るまで演奏され続けています。

指揮は太田弦さん。先月まで大阪交響楽団の正指揮者を務め、来年からは仙台フィルでポストを持つことになっている若手です。

やはりいい曲!日本の民謡が題材になっているので、日本人の心にダイレクトに訴えかけてくる。そして威勢のいい打楽器が最高に楽しい。

前橋汀子さんのメンデルスゾーン

前橋汀子さんによるメンデルスゾーンの1楽章。音楽の運びが凜としていて、実に風格のある演奏。グァルネリの美音がまっすぐにホールの奥まで飛んでくる。

前橋さんは今年デビュー60周年。1943年生まれの78歳。あれほどの精度を維持するには、徹底して体と向き合い、たゆまぬ鍛錬をされているのでしょう。

真紅のドレスに見を包んだ姿はゴージャスで、気の強い娘のような雰囲気と、相手を包み込むような度量を併せ持っていて魅力的。

祝福と敬意と感謝に満ちたステージ

コンサート全体を通じて、ソリストと楽団員から外山さんへの溢れんばかりの敬意が伝わってきました。

そして、外山さんから彼らへの優しい感謝の眼差しが交わり合う。本当に幸せな時間でした。

最後の曲はワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲。指揮台に上がって振り返ると、すぐにタクトが振り下ろされ、分厚い響きが奔流のごとく会場を満たす。

何も足さない、何も引かない。ただただ忠実に紡がれていく調べ。これほど充実した音楽があるだろうか。

カーテンコールでコンマスの森下さんが何やら外山さんに話している。ステージ前方に誘われ、マエストロは口を開く。

「コンサートマスターが何かメッセージをと言うので… 今日はお運びいただき本当に感謝しております。もうずいぶん長くやってきましたが、昔は客のいないステージに立って大編成の曲をやるなんてことも珍しくなかった。それが今やこんなに多くのお客さんの前で。ありがとうございます」

よく通る誠実な声。飾り気のない人柄が溢れている。あぁ、この声が聞けてよかった…!

演奏者も聴衆も、会場の全員が、外山雄三さんの卒寿を心から祝っている。この幸せな場所にいられたことに感謝したい。

挨拶を終えたマエストロに満場の拍手が送られる。そして袖に退場すると、コンマスの森下さんはサッとお辞儀をしてオーケストラも退場。ダラダラとしたカーテンコールはなし。

実に清々しいステージマナーで、簡潔明瞭な外山さんの音楽にふさわしい形で、気持ちよくコンサートは締めくくられたのでした。

あとがき

外山雄三 卒寿コンサート ザ・シンフォニーホール

60年以上も音楽に人生を捧げ、円熟を極めていく。

90歳にして健康な体と心を維持し、周囲にポジティブな循環を生み出し続けている。

外山雄三さんの姿を見いてると、僕もこう在りたい…!と強く思いました。

外山さんの年齢からすると、僕はまだ半分ちょっと。日々、その高みに近づいていけるよう精進していきたいです。

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