こんにちは! えいぷりおです。
胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)をご存じですか?
首の両サイドを縦方向に走っている筋肉です。
この筋肉に負担がかかると、肩こりや首コリの原因となり、自律神経失調をはじめとする様々な症状を引き起こすことが近年分かってきました。
スマホをいつも前傾姿勢で見て、ストレスにさらされ続けている僕たち現代人は、固くなった胸鎖乳突筋をほぐさなければなりません。
この記事では、心身の不調を克服するために、胸鎖乳突筋をストレッチする方法をご紹介します。
胸鎖乳突筋とは
まず、胸鎖乳突筋がどこにあるのかを見ておきましょう。
この解剖図を見て分かるように、胸鎖乳突筋は、耳の後ろにある「側頭骨乳用突起」という頭蓋骨の一部をスタート地点に、首の両サイドをななめに走って、鎖骨と胸骨につながっている太い筋肉です。
「胸骨」「鎖骨」と「側頭骨乳用突起=乳突」をつないでいるということで、「胸鎖乳突筋」という名前がつけられているんですね。
この筋肉は首を回したり曲げたりする時に、重要な役割を果たしています。
現代人の首には27kgの負担が
成人の頭の重さは4~5kgほどあると言われています。これはつまり、11~13ポンドのボーリングの球を、首の上に乗せているような重さです。
しかし、これは首を理想的な形でまっすぐに立てているときにかかる最低限の荷重です。
スマホなどで姿勢が悪くなり、首が前傾するほど荷重は大きくなり、最大で27kgもの重さが首にのしかかることになります(下図)。
その結果、首を支えている胸鎖乳突筋には大きな負担がかかり、筋肉が固く疲労した状態になっていきます。
胸鎖乳突筋が固くなると
胸鎖乳突筋に過剰な負担がかかり固くなってしまうと、それと並行して走っている「頸動脈」が圧迫され、血流が悪くなります(下図)。
血流が悪くなると、血中の疲労物質が滞留し、「首コリ」が起こります。
首に連動して「肩こり」や「緊張型頭痛」も引き起こされます。
緊張型頭痛は血管の収縮が原因で起こる頭痛で、締め付けられるような鈍い痛みが特徴の頭痛です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【偏頭痛・緊張型頭痛】種類別の対処法、解消法まとめまた、老廃物を排出させるはたらきをするリンパの流れも、胸鎖乳突筋と同じラインにあります(下図)。胸鎖乳突筋が固くなると、リンパの流れも滞ることなります。
また、胸鎖乳突筋の近くには「迷走神経」と呼ばれる脳神経のひとつが走っています(下図)。
迷走神経には、心身を緩めてリラックスさせるはたらきをもつ「副交感神経」が含まれています。胸鎖乳突筋が凝り固まると、副交感神経が阻害され、自律神経に悪影響が出ます。
その結果、「自律神経失調症」と呼ばれる、原因不明の様々な症状が起こることになります。「不定愁訴」とも呼ばれます。
自律神経失調の症状は実に多岐にわたっていて、代表的なものだけでも以下のようなものがあります。
【自律神経失調症の症状】
- 頭痛
- めまい
- しびれ
- 発汗異常
- 疲労感
- ほてり
- うつ
- イライラ
胸鎖乳突筋をほぐすには
根本的な解決策としては、いい姿勢を保って、胸鎖乳突筋に負担がかからないようにすることが重要と言えます。
しかし、現代社会を生きる僕たちは、どうしても強いストレスにさらされ、前のめりにスマホをのぞき込む生活から逃れるのは困難です。
胸鎖乳突筋への負担が避けられない以上、現実的なケアは、固くなってしまった胸鎖乳突筋を効果的にほぐすことです。
そのために、3分でできる効果的なストレッチをお伝えします。
忘れてはいけないのは、首の筋肉や骨格は繊細でデリケートなので、痛めやすいということです。
勢い任せに首をグルグル回すのは厳禁です。下手をすると「ぎっくり首」のような状態になり、治療に長い時間がかかることになってしまいます。
次の順に、しっかり息を吐きながら、リラックスして、ゆったりと時間をかけてストレッチを進めてみてください。
【3分でできる胸鎖乳突筋ストレッチ】
- 首を上に傾ける(首の前方を伸ばす)
- 首を下に傾ける(首の後方を伸ばす)
- 首を右に傾ける(首の左側を伸ばす)
- 首を左に傾ける(首の右側を伸ばす)
- 首を右にひねる
- 首を左にひねる
- 首を右上方に向けてキープ
- 首を左上方に向けてキープ
ポイントは、ひとつひとつの方向に丁寧にストレッチすることです。
とても単純ですが、胸鎖乳突筋がじんわりと伸ばされているのを感じながら、やってみてください。
僕はこの方法を体操の先生から教わり、ずっと実践してきました。
朝起きてすぐにやると、頭がすっきりして目覚めがよくなりますし、顔のむくみ解消にも役立ちます。
顔のむくみについては、こちらの記事も参考になさってください。
胸鎖乳突筋をサポートするグッズ
前傾気味になりがちな首を、適切な角度に保って、胸鎖乳突筋をサポートするグッズをご紹介します。
「美ネック」という名の首サポーターです。
これをつけることで、首が前に傾くのを予防することができます。家にいる間だけでも胸鎖乳突筋を負担から守ってあげた方がいいでしょう。
胸鎖乳突筋と自律神経の関係
自律神経失調症と首こり、首周りの痛みには密接な関係があるといわれています。イギリスの医学雑誌にもその相関を示した文献が発表されているそうです。
ご紹介したストレッチを行うことで、胸鎖乳突筋のそばを通っている「副交感神経」「リンパ」「頸動脈」それぞれの流れがスムーズにいくようになります。
その結果、首や肩のコリが解消し、緊張型頭痛もすっきりし、さらに自律神経失調の諸症状も軽快することと思います。
えいぷりお的まとめ
首は脳と身体の架け橋です。
そして胸鎖乳突筋は首を左右で支える重要な柱です。
日々正しいストレッチで流れをいい状態にキープしていると、頭もすっきり、顔色もよくなって、仕事のパフォーマンスも生活の質も上がること間違いなしです。ぜひお試しください。