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2020年8月7日 日本センチュリー交響楽団 ハイドンマラソン20 ジョリべ作曲ファゴット協奏曲も!

日本センチュリー交響楽団 ハイドンマラソン20

こんにちは。そなてぃねです。

2020年8月7日、ザ・シンフォニーホールで行われた日本センチュリー交響楽団の公演「ハイドンマラソン20」を聴きに行きました。

コロナ禍で演奏会が中止・延期に追い込まれる中、6月20日に全国で最初にフルオーケストラの公演再開に踏み切ったのが日本センチュリー交響楽団でした。

あれから1ヶ月半。コンサートを重ねる中で演奏は着実に洗練。緩急に富んだ様々な表情を楽しませてくれました。

大きな収穫だったのは、初めて聴いたジョリヴェのファゴット協奏曲! 首席ファゴット奏者の安井悠陽さんがソロを務め、幻惑的な響きに魅了されました。

演奏会の概要

【日本センチュリー交響楽団 ハイドンマラソン20】

  1. ハイドン作曲
    交響曲 第33番 ハ長調 Hob.1:33
  2. ジョリヴェ作曲
    ファゴット協奏曲
  3. ハイドン作曲
    交響曲 第36番 変ホ長調 Hob.1:36
  4. ハイドン作曲
    交響曲 第48番 ハ長調 Hob.1:48「マリア・テレージア」

ファゴット 安井悠陽

指揮 飯森範親

管弦楽 日本センチュリー交響楽団

 

2020年8月7日(金)19:00~

ザ・シンフォニーホール(大阪市)

 

そなてぃね感激度 ★★★★☆

全国に先駆けて公演再開した日本センチュリー交響楽団

2月末から全国のあらゆる演奏会が中止・延期に。中でもステージ上に密集するオーケストラは、リスクが高いとされました。

そんな中、6月20日に全国に先駆けてフルオーケストラの公演を再開させたのが日本センチュリー交響楽団でした。

2020年6月20日 日本センチュリー交響楽団72020年6月20日 日本センチュリー交響楽団 新型コロナ後、フルオーケストラで全国最初の公演再開

この公演は4ヶ月ぶりの生演奏として注目され、NHKの全国ニュースをはじめ、多くのメディアに取り上げられました。

ただ、演奏者どうしの距離を広げてソーシャル・ディスタンスを確保したため、アンサンブルに苦労している印象も感じられました。

あれから1ヶ月半。定期演奏会やドラゴンクエスト・コンサートの有料配信を重ね、アンサンブルの勘所を取り戻したのでしょう。今回はさらに響きが引き締まり、演奏の精度は格段に高まっていました。

魅力的だったジョリヴェのファゴット協奏曲

今回の公演は、ハイドンの全交響曲を演奏する「ハイドンマラソン」シリーズの20回目。

ですが、ハイドンの前に、ジョリヴェのファゴット協奏曲に触れたいと思います。

▼ソリストは日本センチュリー交響楽団の首席ファゴット奏者、安井悠陽(ゆうひ)さん。

日本センチュリー交響楽団 首席ファゴット奏者 安井悠陽さん

プログラムノートによると、中学1年から高校1年まではチューバを吹いていたそうで、ファゴットの生徒がいなくなったため先生の指示で転向したとのこと。

ということは、ファゴットを始めてまだ9年…! 2019年に東京藝術大学の修士課程を修了したばかりの、まだ24~25歳の若手です。

ステージに現れた安井さんは、スラッとした長身で知的な面立ち。ファゴットが実によく似合います。

いよいよ演奏スタート。僕は安井さんの奏でる音の世界に、一気に引き込まれていきました。

深い音色と自然な歌心、そして胸に染み入る温かい音楽性… 難しいパッセージも乱れることなく端正に音を紡いでいきます。

オーケストラの一員として聴くだけでは気付かなかった魅力を、知ることができました。

アンドレ・ジョリヴェ(1905~1974)は20世紀フランスの作曲家。ファゴット協奏曲は1954年(49歳)の作品です。

僕が好きだったのは2楽章のラルゴ・カンタービレ。弦楽器が織りなす光と影が交錯する淡い響きに、ファゴットの哀切に満ちた旋律が重なって… 胸が締め付けられるような繊細な音楽でした。

その後に続くフーガからフィナーレまでのクライマックスも圧巻! 安井さんの「やりきった!」という感じの清々しい表情も印象的でした。

オーケストラの編成は、弦楽合奏とピアノ、ハープのみ。このシンプルさ故に、ハイドンと並んでも違和感がなく、絶妙な選曲でした。

▼2002年 ARDミュンヘン国際音楽コンクール本選から、第2位(1位なし)のマティアス・ラッツの演奏。僕が好きな第2楽章は8分40秒からです。

圧巻だった第48番「マリア・テレージア」

ハイドンの交響曲は100曲以上あり、正直、僕には各曲の区別があまりつきません…

でも、今回演奏された第33番、第36番、第48番は、それぞれ変化に富んでいて、飽きずに楽しむことができました。

第33、36番は少人数(6型:第1ヴァイオリンが6人)、最後の第48番だけは人数を増やして(8型:第1ヴァイオリンが8人)演奏されました。

そのため第48番はスケールが一際大きくなって、コンサートの締めくくりに相応しい盛り上がりとなりました。

ハプスブルク家の女帝マリア・テレージアが、1773年にエステルハージ家(ハイドンの雇用主)を訪問した際に、歓迎行事で演奏されたと言われる作品です。

大活躍するのがホルン。冒頭から何度も登場する超難度の高音を、実に見事に奏でていました。コロナがなければ、カーテンコールで確実に「ブラボー!」が飛んだことでしょう。

全体を通じて、ピリオド奏法(ヴィブラートを控えて発音を際立たせる古楽奏法)の弦楽器の音は透明度が高く、各パートの動きがクリアに聴こえてきました。

それぞれの楽器の動きが密度の高いアンサンブルを織り上げ、オーケストラ全体がひとつの生き物のように、緩急自在に変化していきます。

ハイドンマラソンを開始して20回目。50曲以上を演奏してきた積み重ねが、楽団の力を着実に高めてきたのだと思います。まさに継続は力なり、ですね。

「本当は満席にしたかった」楽団長の告白

演奏会の冒頭で、楽団長さんが挨拶されました。その言葉には、まだまだ苦しいオーケストラの経営事情が表れていました。

「7月に一時的に感染者が減ったとき、50%までという集客の制限が撤廃されるのではないかと期待しました。でもまた状況が悪化して…」

オーケストラ公演の採算ラインは70%と言われます。半分しか集客できないということは、公演するたびに赤字が膨らむことを意味します。

おそらく依頼演奏会は、今もほとんどキャンセルされているはず。自主公演だけを、赤字覚悟で続けている状況なのだと思います。

事務局のスタッフは非常に苦しい仕事をしていると想像されます。中止・延期への対応、客席の振り替えなど、つらい作業は激増し、前向きな見通しは立たないのですから。

公演が再開されて1ヶ月半。全国のオーケストラが続々とステージに戻ってきましたが、経営状況の厳しさはさらに深刻度を増していると考えた方がいいでしょう。

ひとりの音楽ファンとして僕に何ができるか… 微力ながらも公演に通い続け、応援していきたいと思います。

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