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【演奏会の感想】バイオリニスト石上真由子さんの魅力 ー 京都で「ゴルトベルク変奏曲」を聴く

こんにちは! クラシック音楽大好きの、えいぷりおです!

才能ある若い演奏家を発見することは、最高の喜びです。今夜はそんな喜びをたっぷりと味わってきました。

バイオリニストの石上真由子(いしがみ・まゆこ)さんが、ビオラの野澤匠(のざわ・たくみ)さん、コントラバスの黒川冬貴(くろかわ・ふゆき)さんとトリオを組んで、バッハの名曲「ゴルトベルク変奏曲」を弾きました。

僕にとって大阪に転勤してきて初めて行く室内楽の演奏会。関西の若手演奏家の素晴らしさに触れることができました。

京都の洛陽教会で行われたコンサート

会場は京都市の洛陽(らくよう)教会。京都御所のほど近くにたつ美しい教会です。

演奏会が行われた2018年7月12日(木)は、記録的な豪雨災害が起こった数日後。教会の近くを流れる鴨川は、少し穏やかさを取り戻しているようでした。

150席くらいでしょうか。普通のコンサートホールとは一味違う、親密で穏やかな空気に満たされた空間でした。

(上の写真は教会の公式HPからの引用。演奏会は夜に行われました)

バッハのゴルトベルク変奏曲を弦楽トリオで聴く

演目は、バッハ作曲 ゴルトベルク変奏曲 BWV988。美しいアリアが冒頭とラストにあらわれ、その間に30の変奏曲が展開されます。

もともと鍵盤のために書かれた作品ですが、名バイオリニスト、ドミトリー・シトコヴェツキーが弦楽トリオのために編曲したバージョンが演奏されました。

この編曲版、ほんと素晴らしいんですよ。

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弦楽トリオの編成は本来バイオリン、ビオラ、チェロの3人なのですが、今回の演奏会では、チェロのパートがコントラバスで奏でられます。

バイオリニスト石上真由子さんの魅力

バイオリニストの石上真由子さんを僕が最初に知ったのは、今から10年前の2008年。高校2年生だった彼女が日本音楽コンクールで第2位になったときのドキュメンタリーがNHKで放送されました。

本選の課題曲はブラームスのバイオリン協奏曲。彼女の演奏は荒削りながらも、圧倒的な魅力が溢れていました。表現への強い意思がみなぎっていて、日本人離れしたスケールの大きさと感性の豊かさを感じさせました。

何より音楽をする喜びに満ちていて、弾き終えた瞬間、笑顔とともに涙を流す姿を見て、僕も思わず涙ぐんでしまったものです。

あれから10年。20代後半になった彼女は素晴らしい成長を遂げていました。溢れんばかりの表現への欲求は深みを増し、演奏技術は洗練されて、堀の深い音楽を作り出していました。

ゴルトベルク変奏曲で曲想が変化していくごとに、彼女の新しい引き出しが次々に開いていくようでした。

実は石上さん、プロのバイオリニストとしてはかなり異色の経歴を持っています。音楽大学ではなく京都府立医科大学に進んで医者を志していたのです。

2016年にNHK-FM「リサイタル・ノヴァ」にゲスト出演した彼女は、幼いころから音楽家よりも医者を目指していたと語っていました。

その後、医師免許を取ったのかどうかは分かりませんが、医学の勉強とバイオリンを両立していたことには驚くばかりです。

彼女はいま京都在住。音楽事務所には所属せず、演奏会のマネジメントは自分自身でやっているようです。

これはとても不思議なことに思えました。

演奏家としてのポテンシャルはもちろん、美しさも兼ね備えた彼女は、もっと国内外を飛び回って活躍していてもおかしくありません。

でもきっと彼女は生まれ育った京都で、じっくりと自分のペースで音楽を育む道を選んだのだと思います。

先ほど触れた「リサイタル・ノヴァ」の中で彼女は、ラフマニノフの名曲「ヴォカリーズ」について、こんなことを話していました。

「医学部の受験勉強のために数ヶ月バイオリンから離れていた時期があった。そのとき、恩師が弾くヴォカリーズを聴いて、あまりの美しさに涙が溢れた。成人になったとき、この曲に初めて取り組んだが、自分の表現を見いだせず苦しみぬいた。それだけに思い入れの深い曲」

今回のゴルトベルク変奏曲の演奏会から話がそれてしまいますが、彼女の弾くヴォカリーズの音源をご紹介します。石上真由子さんの音楽性がよく感じられると思います。

〔追記〕石上さんがツィッターにお返事くれました!

このブログ記事を慣れないツィッターでアップしたんです。

そうしたら、なんと石上真由子さんご本人が返信してくれました!

すごいですね! バイオリニストとして研鑽を積みながら、医師免許を取得!! 持って生まれた才能もさることながら、どれほどの努力をしたことでしょう。

医師としてお仕事をされているのか…?? 謎は深まるばかり。そしてミステリアスな魅力も深まるばかりです。

古楽奏法で寄り添うビオラの野澤匠さん

ビオラの野澤匠さんも関西の人です。京都の長岡京室内アンサンブルなどを中心に活動されているようです。

今回はバッハということで、ビブラートをかけない古楽的な奏法で演奏していました。

石上さんのバイオリンにぴったりと寄り添い、気品ある内声を作り出していました。

僕の好みとしては、もっと深みのあるビオラらしい音が聴きたい気持ちもありましたが、ブレることなく作品に合った弾き方に徹していた点に好感を抱きました。

凄腕! コントラバス黒川冬貴さんの深い音色

ゴルトベルク変奏曲の弦楽トリオ版は、本来バイオリン、ビオラ、チェロで演奏されます。

ところが今回はチェロパートをコントラバスの黒川冬貴さんが演奏しました。

これには驚きました。

昔チェロをかじっていた僕は、チェロパートが大変な難曲であることを知っています。だから、コントラバスで演奏することが、どれほど困難か想像を絶するものがありました

黒川冬貴さんは、滋賀県出身。高校卒業後にドイツに渡って研鑽を積み、帰国後は兵庫芸術文化センター管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団の首席、そして現在は京都市交響楽団の首席と、一貫して地元関西のオーケストラで活動を続けています。

関西を代表するコントラバスの名手といってもいいでしょう。

【関連記事】 黒川さんが所属する京都市交響楽団のコンサートに行った感想です。

【演奏会の感想】京都市交響楽団 若手指揮者リオ・クオクマンとの「悲愴」を聴く

今回の演奏会で初めて黒川さんの音を間近で聴いて、びっくりしました。最初の一音から、全体を包み込むような音色に魅了されました。この深く柔らかい音色は、チェロでは出せない音だと感じました。

動きの速いパッセージは、さすがに技術的な限界も感じましたが、全体を通じて、コントラバスならではの深みを堪能することができました。

【関連記事】 クラシック音楽についての記事まとめはこちらへ。

クラシック音楽の魅力とは何か? おすすめの曲、旅行記、演奏会の感想など記事まとめ

えいぷりお的まとめ

石上真由子さんのような才能あふれる奏者が京都を拠点にソリストとして活動し、黒川冬貴さんのような名手が関西のオーケストラ一筋で活動していることは、東京の音楽シーンしか知らなかった僕には新鮮な発見でした。

今後も関西でしか聴けない演奏会に足を運び、魅力的な若手演奏家を知っていきたいです。

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