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【演奏会の感想】バイオリン小島燎 & ピアノ久末航 デュオ・リサイタル(2019年3月 京都)

こんにちは。えいぷりおです。

ものすごい演奏会を聴いてしまいました。

バイオリニスト 小島燎(こじま・りょう)と、ピアニスト 久末航(ひさすえ・わたる)によるデュオ・リサイタルです。

全身に鳥肌が立ち、興奮で体が震えるようなライブでした。こんなことは、めったにありません。

今日は、この感動を書き留めたいと思います。

演奏会の概要

演奏会の概要です。

【小島燎・久末航 デュオ・リサイタル2019】

  1. ブラームス作曲
    バイオリン・ソナタ 第1番
    ト長調「雨の歌」作品78
  2. ドビュッシー作曲
    バイオリン・ソナタ
  3. ストラヴィンスキー作曲
    協奏的二重奏曲
  4. エネスコ作曲
    バイオリン・ソナタ 第3番
    「ルーマニアの民俗様式で」作品25

バイオリン:小島燎
ピアノ:久末航

2019年3月8日(金)19:00~
青山音楽記念 バロックザール(京都)

バイオリニスト 小島燎

僕はバイオリニスト 小島燎さんのことを、まったく知りませんでした。

ちょっと変わった経歴の持ち主で、なんと京都大学の出身なのです。

5歳から父親の手ほどきでバイオリンを始め、小学6年生だった2004年に、第5回大坂国際音楽コンクールで第1位(弦楽器部門 小学校の部)。

中学3年生の2007年には、第61回全日本学生音楽コンクールで第1位(中学校の部)を受賞するなど、早くから才能を示していたようです。

それだけの腕前を持っていながら、バイオリン一筋ではなく、京都大学に進んだというのは興味深い経歴です。

京都大学を卒業後、2015年にパリ・エコールノルマル音楽院に留学。2018年にはパリ国立高等音楽院の修士課程に進んで、勉強を続けているようです。

今回は、生まれ故郷の広島、学生時代を送った京都、そして東京と、3都市をまわるツアーを敢行。パリでの研鑽の成果を披露しました。

ピアニスト 久末航

ピアニスト 久末航さんは、2018年7月に京都でのリサイタルを聴きに行き、繊細で緻密な音楽に深い感銘を受けました。

世界最難関と言われるミュンヘン国際音楽コンクール(2017年)で第3位を受賞。

2017年以降はベルリン芸術大学大学院で勉強を続けているとのこと。現在25歳。計り知れない可能性を秘めた大器と言っていいでしょう。

今回の演奏会では、同世代とのデュオで、ソロとはまた違う魅力を感じさせてくれました。

【演奏会の感想】京都のカフェ・モンタージュで久末航(ひさすえ・わたる)さんのピアノを聴く

素晴らしいプログラム構成

今回のプログラムは、難易度的にも量的にも「これを本当に一晩で弾き切れるのか!?」とびっくりするほど濃い内容でした。

曲順も絶妙。作品ごとに新たな扉が開き、見たことのない世界が目の前に広がっていきました。

ブラームス。優しい雨が降りしきる静かな湖面。思い出の中の懐かしいセピア色の風景。

ドビュッシー。雲間から光のはしごが降りてきて、湖面の霧に反射して七色に輝く。

ストラヴィンスキー。光の粒子がダンサーのように舞いはじめ、幾何学模様を描く。

エネスコ。湖面が叩き割られて宝石のように飛び散り、目眩のするような極彩色の世界へ…

こんなイメージが次々に喚起され、コンサートのラストでは気絶しそうなカタルシスにいざなわれて頭の中が真っ白になりました。

こんな豊かな時間があるだろうか…

特に僕にとって大きな収穫だったのは、ストラヴィンスキーとエネスコの素晴らしい作品を知ることができたことでした。

ストラヴィンスキー作曲 協奏的二重奏曲

ロシアの作曲家、イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882~1971)の、協奏的二重奏曲は1932年の作品。

古代の田園詩に着想を得た5曲からなります。

1. Cantilene (カンティレーヌ)
2. EgloqueⅠ (牧歌Ⅰ)
3. EgloqueⅡ (牧歌Ⅱ)
4. Gigue (ジーグ)
5. Dithyrambe (バッカス賛歌)

ふたりは前衛的な和声とリズムを完全に自分のものとし、曲ごとに変化していくキャラクターを見事に演じていました。

演奏前に久末航さんは、聴衆にこんな話をしました。

「まるで現代舞踊のような音楽。前列の男性群舞と後列の女性群舞が入れ替わったり、女性のソロダンサーを男性ダンサーたちが円形に取り囲んだり… そんなイメージを喚起させる音楽」

久末さんは、パリ国立高等音楽舞踊大学に留学中に「バレエ音楽ピアノ即興法」というものも学んで、最優秀の成績を修めたそうです。

クラシックだけにとどまらない多彩なセンスが、イマジネーション豊かな演奏を生み出すのだろうと思いました。

エネスコ作曲 バイオリン・ソナタ 第3番

ジョルジュ・エネスコ(1881~1955)は、ルーマニアの名バイオリニスト。メニューインやグリュミオーを育てた名教師でもありました。

作曲家としては、ルーマニアの民族色を濃厚に反映した作品を残し、1926年に作曲したバイオリン・ソナタ 第3番もルーマニアの民俗様式でという副題がつけられています。

大変な難曲で、演奏会で取り上げられることはめったにありません。僕はこれまで聴いたことがありませんでした。

小島燎さんと久末航さんによる演奏は、もう本当に気絶するほどに凄まじいものでした。

官能的で濃密な歌から、すべてを破壊する狂気のクライマックスまで、一瞬の緩みもなく聴き手の魂を鷲づかみにして駆け抜けました。

なんだこれ…!しばし呆然として立ち上がれませんでした。

聴いたことのない方のために動画を探したのですが、今回のライブに匹敵するような演奏は、なかなか見つかりませんでした。ようやく見つけたのが、こちら。

モルドバ共和国の鬼才、パトリツィア・コパチンスカヤによる2004年のライブ録音。モルドバは文化的に隣国ルーマニアと近い国。コパチンスカヤの演奏は楽譜を超越した「血の叫び」のように聴き手を圧倒します。

えいぷりお的まとめ

今回のデュオ・リサイタルは、僕にとって忘れられないものとなりました。

20代半ばのふたりの青年が、世界の最前線にいることを、全身全霊で示していました。その姿はまばゆい光を放射し、無限の未来を照らし出しているようでした。

これからも、小島燎と久末航という若き才能を、陰ながら応援していきたいと思います。

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