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【演奏会の感想】神戸市混声合唱団 ロッシーニ作曲「小荘厳ミサ」~愛を込めて~

こんにちは。えいぷりおです。

神戸市を拠点に活動するプロの合唱団、神戸市混声合唱団の演奏会に行ってきました。

曲目はロッシーニ作曲「小荘厳ミサ」。めったに聴くことのできない、オリジナル編成による演奏。

深く心に染み入る演奏会でした。

神戸市混声合唱団とは

神戸市混声合唱団は、1989年に神戸市によって設立されました。日本では数少ないプロの合唱団です。

2018年現在、団員はソプラノ11名、アルト7名、テノール8名、バス8名の、計34名。さらに、専属ピアニストが8名います。

年に2回の定期演奏会を中心に、様々な公演を行っています。

僕の中で印象に残っているのは、阪神淡路大震災から10年の節目となった2005年に、NHK交響楽団と共演したモーツァルトの「レクイエム」です。

テレビ放送で見たのですが、祈りに満ちた合唱は、僕の心に深く刻まれました。

〔参考音源〕2011年と2012年にリリースされた、宇野功芳指揮による日本歌曲のCDは、レコード芸術特選盤に選出されるなど高い評価を得ています。

創立30年 秋の定期演奏会に行ってきた

今回行ってきた演奏会の概要です。

【神戸市混声合唱団 秋の定期演奏会】

ロッシーニ作曲
小荘厳ミサ
(オリジナル版:ピアノ2台とハルモニウムによる)

 

ハルモニウム 沢田真智子
ピアノ 大原亜樹子、河内仁志
指揮 佐藤正浩

 

2018年9月16日(日)
神戸文化ホール 中ホール

めったに聴けないオリジナル編成

今回の公演の大きな特徴は、オリジナル編成による演奏だったことです。

写真のように、舞台には3つの楽器が据え付けられています。

中央に置かれているのが、ハルモニウムという楽器です。

これがハルモニウムという楽器です(写真は当日の会場ロビーに説明用に掲示されていたものを再撮させてもらいました)。

送風ペダルを使って加圧しながら音を出すリードオルガンで、ペダルの繊細な操作はとても難しく、名人芸が求められます。

音量の小さな楽器ですが、今回の公演では、2台のピアノ(後述)との対比で、繊細な音色が効果的に使われていました。

ハルモニウムの左右には、種類の違う2台のピアノが置かれていました。

写真の右側(客席から見ると左側)には、オーストリア製のベーゼンドルファーが。

そして、写真の左側(客席からみると右側)には、ハンブルク製のスタインウェイが、フタを取った状態でハの字に置かれています。

深みのある暖かな音色が特徴のベーゼンドルファーと、華やかで輝かしい音色が特徴のスタインウェイを使い分けているんですね。

その音色の違いが、楽曲の構成にどのような効果をもたらしたのかは、正直、僕の耳には聞き取れませんでした。

でも、指揮者・佐藤正浩さんの並々ならぬこだわりは伝わってきました。

実はロッシーニは、このオリジナル編成を書き上げた後、自らオーケストラ版に編曲しています。

指揮者・佐藤正浩さんのアフタートークによると、ロッシーニ自身はオーケストラ版を書くことに決して前向きではなかったそうです。

でも、後世に誰かが変な編曲をしてしまうことを恐れて、しぶしぶ自分で編曲したのだとか。

だから、この曲を聴くなら、やはりオリジナル編成が望ましいのですが、ほとんど聴けるチャンスはありません。より重厚なオーケストラ版で演奏される機会の方が多いからです。

そういう意味で、今回の演奏会は、とても貴重な機会でした。

〔参考音源〕オリジナル編成の録音は限られていますが、こちらはおすすめです。

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すべての団員がソリスト

ミサ曲とは、カトリック教会のミサ(感謝の祭儀)に伴う声楽曲です。

ロッシーニが最晩年に作曲した「小荘厳ミサ」も、基本的なミサ曲の構成に則って書かれています。

キリエ(主よ憐れみたまえ)、グロリア(栄光)、クレド(信条告白)、サンクトゥス(聖なるかな)、アニュス・デイ(神の小羊)の5曲を軸に構成され、全体で80分ほどかかります。

4人のソリスト(ソプラノ、アルト、テノール、バス)と合唱で歌われます。

通常、ソリストはゲストとして招くのですが、神戸市混声合唱団のすごいところは、すべての団員がソリストを務められる力量を持っていることです。

1曲ごとにソリストを交代し、出番が終わると合唱に戻る、というスタイルをとっていました。

この方法だと、たくさんの団員さんのソロを聴けて面白かったです。

一人ひとりのクオリティの高さに驚きました。これだけの人材が集まれば、そりゃすごい合唱団になるわけです。

指揮の佐藤正浩さんはピアノの名手だった

楽曲の終盤に、 「Prelude religieux pendant l’Offertoire」というピアノの独奏曲があります。

この場面で、指揮者の佐藤正浩さんがゆっくりと指揮台から降り、ベーゼンドルファーの前に移動。それまで演奏していたピアニストと入れ替わって、演奏しはじめたのです。

その調べは魂の深淵に降りていくようで、思わず目を閉じて天を仰ぎました

深くあたたかい祈りの響き。これを聴いて、

「あぁ、このためにベーゼンドルファーを用意したのか」

と気付きました。

このような美しいピアノ曲があることは、あまり知られていないのではないでしょうか。

というのも、この曲のラストはきちんと終わる和音で書かれておらず、単独で演奏されることはないからです。

〔参考音源〕たまたま単独で演奏しているyoutubeの動画がありました。ぜひ聴いてみてください。

佐藤正浩さんはオペラ指揮者としてのキャリアを、歌劇場の専属ピアニスト(コレペティトール)から積み重ねてきた叩き上げです。

東京藝大の声楽科を卒業後、名門ジュリアード音楽院のピアノ伴奏科の修士課程を修めています。ピアニストとしても超一流の教育を受けているのです。

佐藤さんのピアノ独奏からは、これまでに培ってきた音楽への深い知識と経験がにじみ出ていて感動的でした。

アルトの八木寿子さんの素晴らしさ

最後の曲「アニュス・デイ(神の小羊)」のソロを歌ったのが、アルトの八木寿子(やぎ・すみこ)さんでした。

実は、僕が今回この演奏会に来た大きな目的は、八木さんの歌声を聴くことでした。

以前、関西フィルの定期演奏会で、ヴェルディ作曲「レクイエム」のソロを務める八木さんの歌声を聴いて、深い感銘を受けたのです。

【演奏会の感想】関西フィル/藤岡幸夫のヴェルディ「レクイエム」 団結力が生み出した祈りの響き

今回も、八木さんの歌唱は圧巻でした。

合唱団の一員として歌っていた彼女が、最後の曲でゆっくりと前に出てきたとき、ステージから凛としたオーラが立ちのぼりました。

その声は深く、神々しく、僕の魂に響きました

八木さんのストイックな歌声は、レクイエムやミサ曲などの宗教曲にとても合っていると思います。

でも、他のジャンルの曲も聴いてみたいです。

日本歌曲やドイツ歌曲も素晴らしいだろうな…

オペラではどんな表情を見せてくれるのだろう…

八木寿子さんは、そんな期待を抱かせてくれる歌手です。

えいぷりお的まとめ

「小荘厳ミサ」についての頭のよさそうな論評を、僕はまったく書けません。

声の美しさに感動するばかりで、小学生の感想文のようになってしまいました。

でも、それでいいじゃないですか。

クラシック音楽を聴くからと言って、難しいことを書かなきゃいけないなんて思ったら、ぜんぜん楽しくないですから。

神戸は僕の故郷です。地元にこんな素晴らしい合唱団があるなんて知りませんでした。

関西にいる間に、できる限り神戸市混声合唱団の演奏会に聴きに行きたいと思います。

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